ヘット・アンカー醸造所 1


ブリュッセルから約30キロ北にあるメッヘレン(MECHELEN)は、小さな町ながら中世のネーデルラント時代において権力の中心となった都市です。
ここに残るヘット・アンカー醸造所には、15世紀から造り続けてきたビールが受け継がれています。



15世紀の初め、カール5世の育ての親である叔母マルグリット・ドートリッシュがネーデルラントの総督となり、拠点を置いたメッヘレンは、ネーデルラントにおける重要な都市となっており、メッヘレンのビール醸造ギルドは神聖ローマ皇帝カール5世の命によりビールを醸造し、皇帝のために最高のビールを醸造することを誇りにしていました。
現在のヘット・アンカー醸造所は、当時、メッヘレンのベギン会の療養施設であった場所にあり、いくつかの建物は15から16世紀に建てられたものが今でも残っています。

ベギン教会とは十字軍遠征などが活発化し争いの絶えなかったヨーロッパにおいて、家族を亡くしてしまったり、身寄りのない女性などが安全に暮らせるようにと、独自の戒律で広まっていった組織で、教会や修道院といわれますが、カトリックの修道院などとも少し違います。
ヨーロッパ全土に広まっていたベギンですが、キリスト教をはじめ宗教の影響力が強かった時代、異端とされて消えていく中、ネーデルラントのベギンは残り続けました。最後のベギン修道女は2013年、コルトレイクでこの世を去り、800年以上にも及ぶベギンの歴史はついに終焉となりました。
現在残っているベギン会施設のうち、ベルギーにある13か所が世界遺産になっています。


1872年、ファン・ブレーダム家が醸造所を購入後、蒸気ボイラーを備えた醸造所を建設しました。
メッヘレンの醸造業者の誇りと伝統を受け継いだ一族は現在、シャルル・ルクレ氏で5代目になります。
1990年、シャルル・ルクレ氏が醸造所を継いだころ、ベルギービール産業は廃退気味で、伝統産業であるが故の跡継ぎ問題や分散相続により廃業されてしまう醸造所も多かったのだそう。
しかしながら、メッヘレンの伝統ビールを守り抜き、繁盛させようという強い意志を持ち、新たな経営スタイルで見事に醸造所を立て直したのです。

更にルクレ氏は、ファン・ブレーダム家が醸造所を購入する前に作っていたネーデルラントの蒸留酒、ジュネヴァの蒸留所を改装し、醸造所で作っているビールの麦汁をベースにしたウイスキー蒸留所までも展開しています。



ヘット・アンカー醸造所
Brewery Het Anker
http://www.hetanker.be/en










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