2016アンドラウルトラトレイル参加ツアー ご参加 S様から、大変嬉しいメールを頂きましたので、ご紹介致します。
【アンドラウルトラトレイルとは】
スペインとフランス国境のピレネー山脈の山中にある、小さな独立国「アンドラ公国」で開催される、世界で最も厳しい100マイルレースの名高い、合計13000m獲得標高、16の2000m級ピークを超える、究極のウルトラトレイルです。半分以上のランナーがリタイヤし、50時間を着れるランナーは約80名という、本当に厳しい山岳レースを完走された、S様からの旅行記です!!
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お返事が大変遅くなってしましましたが…私事、お盆のお参りの最中にポッカリ時間が空きましたので「これはしめた!」とばかり、アンドラウルトラトレイルツアーの件についての報告文をしたため、久保さんの熱烈サポートへの御礼とさせて頂きたく思います。
凄まじいレースになるであろうとは、コースプロフィールのノコギリの刃の様な断面図から予想はしてはいましたが…あれほどとは想像もつきませんでした。
基本的に登山はしない(当然、技術もない)自分が完走できたのは、アンドラの厳しくも美しいトレイルと人々の暖かいもてなし。それに加えて、自分の楽天的な性格が幸いしたものと考えられます。
7月のピレネーは、まさに花はな花。日本で見慣れた花とはすこし異なるので、その名前こそ判明しませんでしたが、色鮮やかなその姿に大いに心癒されました。
コース序盤、ベレー帽のおっさん2人組がめっちゃ楽しそうに走っていたので思わず話しかけたのですが、陽気に対応してくれたばかりか「UTMFイクヨ」との事。遠くアンドラの地において、日本での再会を約束できる。これがスポーツの持つ力ですね!
ロード区間を終え、これから始まる長〜いトレイルの入り口で大会主催者のおじいちゃんが選手たちに声を掛けていたもの印象的でした。
エイドでの生ハムチーズサンド、固くて甘〜いメロン、白米にケチャップ…冷静に考えればオムライスの中身!パスタにかけた白いスープは何だったのかな?
どのエイドでも(安全な場所&時間帯には)子供たちがスタッフとして参加。レースとは参加者、ボランティア、そして観客の全員で出来ている!日本が見習うべきところばかりです。少年にトイレを尋ねると「ソノ辺デシタラ?」と促されましたが…
コマペトローザに圧倒されて、すべって、登って、バグパイプに勇気もらって(なんでスコットランドの曲にポルトガルの国旗だったんだ?)でもって、下りで内蔵がシェイクされて…グダグダでたどり着いた山小屋エイド。
久保さんの絶品リゾット完食できなくて申し訳ありませんでした!でも、弱った身体には『さきイカ』が効くと教えてくれたお嬢さんに感謝!の思い出エイドになりました。
夜通し山を下らされた、その先にオレンジ色のバナーが見えた時の安堵感。
「これは旨そうだ〜!」久保さんが作ってくれた、出汁の利いたラーメン。
そして、この先での再会を約束して別れた吉田のおっさん。
写真を撮る事もなく、30分で旅立った第1デポジット。ここからはギアを上げてレースを再構築。次のエイドまでの途中、香港のアレックスに会っていた事を報告しておきます。
昼間は無敵(睡魔せん)を自称していましたが…正午を前にモーレツな睡魔。
15分だけ寝ようと木陰に入り、タイマーセット。それでも、寝れそうになくて(熟睡が恐かったから)5分間ほど意識を自然との調和にシフト。
その甲斐あってか、驚くほどに回復。脳の可能性の深淵な部分に、ほんの少しだけ触れる事が出来た気がしました。
ここからはレースをひたすら楽しみましたね。
ミニカップラーメンも背負ってきて正解!世界自然遺産を眺めつつの『どん兵衛』は、武田鉄矢さんもビックリの旨さでした。
オレンジの街の明かりが山頂から遥かに望めた時、内心ホットしたのですが…白い砂利の下りが待っている足元からは、クールな風。ビビリ…びびり…下った先に、あったあった第2デポジット地点!
途中で一緒になったパブロ(マドリッド生まれ)は、日本人のお嬢さん(伴さん)と並走したかったのでしょうが、僕が割って入ってスペイン語を習ったりしながらも、ちゃんとライトで女性をサポートするあたりは、さすがのヨーロッパ男性。
いや〜それにしても、体育館は暖かかった。厳しさと優しさの振り幅が、実に大きいレースです。
渡渉地点が多くて、すっかり痛めつけられた足の裏はヤスリを踏んでいる感覚。カカトが剥けたのも初めて。今となっては良い経験を積ませて頂き感謝です。
『焼きそば弁当』お湯漏れ対応、ありがとうございました。マットレス&毛布の確保、
感謝します。飲むヨーグルト旨かった&ぬれおかき食べそびれました。やはり、久保さんのサポート無くしては、完走は難しかったと思います。
仮眠の最中のアイシングの効果が絶大で、両太ももの激痛が解消!!
これはすごい発見でした。お陰でこの後の下りでは常に全景姿勢を維持できました。
実際、レース再会の後、直ぐに川まで下らされましたからね。しかもシャワーを浴びてキレイになったばっかりで渡渉…いやはや、全く楽しすぎるレースです。
しばらくは単独行。オリエンテーリングの様な感じで、小さなマーキングを探す感覚は
独特。前方、遠くの山中に光。振り返ると、僕の歩んだであろう道にも光。自身もレースに参加する主催者ならではの、絶妙の人数設定なのでしょう。
山越えしたあたりで朝焼け。ピレネーの山はでかい!見渡せば、やはり花!おふくろに見せてやりたかった景色でした。
写真を撮りつつ、たどり着いたエイド。折り鶴、大盤振る舞いで記念写真。
久保さんの「エンジョイいてますねぇ」の一言。はい、その為に来たんです!
何事も段取り八分。試合を楽しむ為、しこしこ鶴を折り、こそこそ練習しました。
残り2つ目の山の途中、パラグライダー男子と会話。
「今カラ、アソノマデ登ッテ飛ブンダヨ」との事。あの人には、男だけど(普通は全く効果ナシ)鶴をあげておけば良かったと後悔。
その後、山頂で応援してくれていたお嬢さんとカウベルを鳴らしながら、飛び立つ勇士を眺めた事は良い思い出になりました。ここの下りも強烈でしたが…ね。
最後の山の最終チェック地点、僕のジャージに「悟空?」と反応してくれたアニメ好きのお嬢さんにも、もれなく折り鶴。ヨーロッパの方は(善くも悪くも)素直に反応してくれるので、気持ちが良いですね。
山頂からフィニッシュまでは、お花見しながら、ず〜っと歩きました。
UTMB のラスト8キロは貯めていた足を爆発させて(これはこれで楽しかったです)猿の如く走り下った結果、僕の走りを讃えてくれたフランス人家族と同時フィニッ シュとなったのですが…ウイニングラン的な感動を味わう事ができなかったので、今回はじっくり行きたかった(足も売り切れでしたし)為です。
寝 不足(本人に自覚症状ナシ)に加えて、猛烈な熱さ(3着目のジャージはノースリーブ)熱中症には気をつけました。まだまだ水は残っていましたが、より冷た い水を求め途中の小川で補給。その沿道で応援していた老夫妻にも折り鶴。マダムにも効果は絶大です!笑顔で別れ、最終エイドへ。
ここで初めて、生ハムメロン!ミディックの日本人選手にも勧めると、笑顔。ここまで来ると炭水化物は不必要ですが、塩分はまだまだ欠かせません。
と…のこり4〜5キロくらいのカフェに、先ほどの老夫婦がいるじゃないですか。
アイコンタクトをとり、話しかけると「サンクキロメートル!」との事。
そう…3キロじゃなくて、やっぱり5キロ(ツールドフランスで学習)なんですよね。
そこからしばらく、川沿いの道を近所の散歩の様に歩いていると…
前方に上半身裸のイカツイおっさんが立っていて、僕の写真を撮っています。親しげにフランス語で話しかけてくれるのですが、あいにく良く解りません。
するとデジカメの写真を見る様に促します。
あ、ニコラだ!!ベレー帽の2人組のおっさんだ!!
眼鏡と帽子をかけてないので、誰だか解りませんでした(しかも寝てないし)
そこから片言の英語で親睦をはかりながら(彼らは途中で足切りにあったとの事)進んで、残り2キロ。あ、今度はルークがいた!!
よっしゃ、こうなりゃみんなでフィニッシュだ!!
セレストレイルを完走したセバスチャンも伴って、ゆかいなパーティが完成。
ドラクエだったら『戦士&戦士&戦士&僧侶』これは強そう(序盤のみ)!?
そんな訳で、ベレー帽3人衆に護送されるかの様に?感動のフィニッシュ。久保さんにしっかり押さえてもらった写真が来年の年賀状を飾ってくれる事でしょう。
あの老夫婦もゴールまで駆けつけてくれていて、またまた感動。いつか、誘ってくれたボルドーのお宅に伺いたいものです。
100マイル58時間半、存分に遊ばせていただきました。今大会に関わったすべての関係者に感謝。美しい人達と大自然に感謝。アンドラ大好きになりました!
以上、駄文ながなが失礼しました。また機会がありましたなら、御社に旅のお手伝いをお願いしたいと思っております。次は…レユニオンかな?
追伸 帰国後、自室のテーブルで見慣れたケースを確認。アイウェア…入れ忘れていたみたいです。やはり、久保さんのサポート無しに完走は不可能でした!!!
Staff Comment
UTMBや、UTMFなどを見てきましたが、その圧倒的なスケールと難易度に圧巻されたアンドラウルトラトレイル。
73㎞のエイドに20時間経過後にまだ50名ほどしかランナーがたどり着いていないのを知り、唖然としました。
これは無理ではないだろうか?
そうもさえ思わせる、超絶過酷なウルトラトレイルを制覇したS様は、本当にリスペクトです!!
満身創痍ながら着々とゴールを目指す皆さんの雄姿に、こちらも熱くなり、必死でサポートしました。
そして55時間以上かかってのゴールは本当に感動的でした!
アンドラウルトラトレイルは、まさしく完走したものすべてがリスペクトされる、最高峰のウルトラトレイルだと痛感しました。
2017年はレウニオンツアーを企画しております。
ぜひまたSさんの激走をサポートできたらうれしいです!!
フィールズ・オン・アース
久保