「寒い」という理由で旅行者が減る冬のヨーロッパ。フランスもその例にもれません。
しかし、冬のフランスには、ちょっと「通好み」な魅力が隠れています。
観光客が鳴りを潜め、街も人々も普段の様子を見せてくれる冬。しっとりと落ち着いた大人旅を叶えてみませんか?
今日は冬のフランスがすてきな理由をご紹介したいと思います。
その1:イルミネーションがすてき
11月の声をきき、夜が長くなりはじめると、街はイルミネーションやクリスマスデコレーションで華やかさを増します。とくににぎやかなのは首都パリ。「花の都」とも「光の都」とも言われるその名にふさわしい輝きを見せてくれます。
見どころは次のエリア:
シャンゼリゼ大通りavenue des Champs-Elysées
モンテーニュ通りavenue Montaigne
ヴァンドーム広場place Vendôme
モンマルトルquartier Montmartre
ベルシーヴィラージュBercy Village
また、プランタンやギャラリーラファイエットといった大型百貨店では、クリスマスに向けて店舗を挙げての大がかりな飾り付けが行われます。吹き抜けになったホールの大空間に設置される巨大なクリスマスツリーは、毎年意匠が凝らされ、パリっ子の話題をさらうほど。
もちろん、街角のブティックもそれぞれクリスマス仕様になり、ウインドーショッピングがますます楽しくなりそうです。
パリで年越しをする幸運を得た方は、ぜひ大晦日はエトワール広場へ。凱旋門にプロジェクションマッピングが映し出されるほか、カウントダウンのタイミングで花火が打ち上げられます。
新年の第一声は「ボンナネBonne année(明けましておめでとう)!」そこにいるすべての人々と新年の到来を分かち合える、すてきな瞬間です。
その2:ソルド(バーゲンセール)がすてき
新年早々、フランス人がそわそわするのは、この大型のバーゲンセールが行われるから。フランスではソルドSoldesと呼ばれ、開催は夏と冬の年2回。このソルド、公平性を期すため政府が日程を定めています。今冬のソルドは1/9 (水)~2/19(火)の6週間(国境付近の県や海外県では1週間ほどのずれがある)。ラグジュアリーブランドもプチプラも、一斉にソルドとなるこの期間、お買い物を楽しむにはベストシーズンといえそうです。
その3:カキがおいしい
フランスの冬のグルメ、といえばやはりこれ。フランス人にとっては、クリスマスや新年のご馳走でもあります。多くの家庭に、オイスターナイフや専用フォークが備えられているようです。
フランス人がどんなにカキが好きかというと、消費国として、なんと世界第1位!もちろん生産国としてもヨーロッパ第1位、世界でも第4位を誇ります。
その約半数を生産するのは、ヌーベル・アキテーヌ地方の町、マレンヌと、大西洋に浮かぶ島オレロン島。ここでとれるグリーンオイスター(フランス語でFine de Claire Verteフィン・ド・クレール・ベルト)は、農業省認定の逸品。この地の浅く粘土質のいけすで、通常より長い日数をかけて育成されることで、みずみずしく風味豊かな味わいとなります。特徴的なのはその色。海藻の一種の成分を取り込んで、ふんわりと薄緑色の肉質となるのです。まさにテロワールを映したこのカキ、現地で新鮮なものを食べたいと思いませんか?ボルドーから車で約2時間、ロシュフォールから約30分の道のりです。
カキのお供はもちろん白ワイン。ロワールのミュスカデ、ブルゴーニュのシャブリ、アルザスのリースリングあたりでしょうか。焼いたカキにはシャンパーニュできまりです!
その4:男と女がすてき
「男と女」と聞いて、あの映画を思い出す方は、なかなかのフランス通ではないでしょうか?1966年、ヌーヴェルヴァーグの潮流の中で生まれたこの映画、スタイリッシュな映像と、「シャバダバダ」の音楽が絶妙で、当時のパルム・ドールを受賞しました。
クロード・ルルーシュ監督は、シーズン・オフのドーヴィルの海辺で、この映画の着想を得たと言われています。撮影も同様に冬のド―ヴィル。お茶を飲むシーンは、当地のランドマーク、ホテル・バリエール・ル・ノルマンディで撮られました。
海水浴客が去り、少し淋しくなった海辺の保養地は、大人の二人が寄り添うのにぴったりです。ゴージャスなリゾートホテルも、冬にはリーズナブルな価格を提供してくれます。冬のやわらかな光に、水彩画のようになったノルマンディの海を、だまってふたりで眺める。そんなひと時も、映画みたいでなかなかすてきだと思いませんか。
ド―ヴィルへはパリ、サン・ラザール駅から電車で約2時間10分。ノルマンディ様式の伝統の木組みの街並みが、パリとはひと味違うフランスをあなたに見せてくれるはずです。