2018年は、ブリュッセルのフラワーカーペット第21回目の開催となります。
今年のテーマは、豊かな文化と花の伝統を持つ、メキシコのグアナフアトという都市です。
2018年は、ブリュッセルのグランプラスがユネスコの世界遺産に登録されてから20周年となる年にもなり、証券取引所のある、Place de Bourceでも花の催し物がご覧いただけます。
今年も色とりどりの美しい花の絨毯をお楽しみいただけることでしょう!
グランプラスのフラワーカーペットの大きさは、長さ75m、幅24m、総面積1,800㎡。
カーペットの模様は、計60万本以上のベゴニアの花で造られます。
1㎡当たりの花の数は300本前後。
途方もない作業のように思えますが、100人ほどのボランティアによって約4時間で造り上げられます。
市庁舎のバルコニーからカーペット全体を眺めると、その美しさにため息が出るほど。
当初は不定期に開催されていましたが、1986年からは2年ごとに定期的に開催されるようになりました。
記念すべき最初のフラワーカーペットがお披露目されたのは、1971年。
1970年のある晴れた日、ブリュッセル市会議員のDe Rons氏とVan Den Heuvel氏は、ブリュッセル西部の町・オウデナールデのグランプラスで、綺麗な花のカーペットを見かけました。
これを見た彼らは、ブリュッセルでも同じことをすべきだ!と思い立ちます。
そして、翌1971年8月15日の週末、ブリュッセルのグランプラスに、装飾をモチーフにした、新鮮で明るい、最初のフラワーカーペットが登場したのでした。
その5年後、1976年には第2回目のフラワーカーペットが開催されました。
第2回のテーマは「風景・公園・庭園の年」で、第1回のフラワーカーペットとよく似たデザインのものでした。
第3回目のフラワーカーペットは1979年に開催されました。
1979年は、979年にブリュッセルが創設されてからちょうど1000年という記念の年でしたので、ブリュッセルの守護聖人・大天使ミカエルを表したフラワーカーペットが造られました。
第4回フラワーカーペットは1980年の開催でしたので、2年続けてブリュッセルのグランプラスが花で彩られたことになります。
1980年はベルギー建国150周年という記念の年でしたので、「団結は力なり」という国の標語の下、ベルギーのライオンの国章をモチーフにしたフラワーカーペットが造られました。
1986年は転換の年でした。
それまで不定期にしか開催されていなかったフラワーカーペットが、この年以降、2年ごとに定期的に開催されるようになったのです。
ブリュッセル市の主導により、(かつて存在し、ブリュッセルが属していた)ブラバント州や、ブリュッセルの貿易協会と協力して、「ブリュッセル・フラワーカーペット」協会が設立されました。
そして、ブリュッセル・フラワーカーペット協会は、新しく規則を定めます。
その規則とは…
・イベントは、隔年の8月15日の週末に3~4日かけて開催すること
・イベントは、音と光のショーや花火、ジャズコンサート、その他の伝統的な民俗芸能によって、より良いものにすることができること です。
1986年の第5回フラワーカーペットのテーマは「ブリュッセル市の紋章」でした。
そのため、再びブリュッセルの守護聖人である大天使ミカエルが勇敢にも悪魔を踏みつけている様子がモチーフとなり、種や葉っぱを用いて造られました。
ブリュッセルで行われる一大イベントなだけあって、大天使ミカエルがよく登場しますね!
第9回、1994年のフラワーカーペットは、ブリュッセル解放50周年がテーマでした。
第二次世界大戦中、ドイツに占領されたベルギーを開放したのがイギリスでした。
カーペットには3つの噴水が設置され、着色水がジェット噴射される仕掛けになっていました。
そして、この年に初めて、子ども用の可愛らしい小さなカーペットが2つ造られました。
この最初のミニフラワーカーペットは、ディズニーの『おしゃれキャット』から2つのシーンが選ばれ、ブリュッセル公園に描かれました。
1996年、第10回フラワーカーペットは、フランドル・ルネッサンス様式にインスピレーションを受けて、とにかく目と心を楽しませることを目的に造られました。
少し堅苦しいくらい整った構成になっており、植物、紋章、幾何学模様からインスピレーションを受けた装飾が施されました。
この年も、子ども用のミニフラワーカーペットがブリュッセル公園に造られました。
1998年、第11回目のフラワーカーペットは、トルコで生活している半遊牧民の絨毯にある幾何学的な模様からインスピレーションを受けて造られました。縦に2列あり、2種類の模様が交互に並べられました。
この年の子ども用のミニフラワーカーペットは、カンブルの森に移動し、ミッキーマウスが描かれました。
第12回、2000年開催のフラワーカーペットでは、デザイナーがStautmans氏からSchautteet氏へと引き継がれ、これまでとは違った完全にオリジナルのデザインが考案されました。
そのデザインとは、「ブリュッセル製レースのテーブルランナーが敷かれたとても古いテーブル」でした。
儚くも生き生きとしたベゴニアの花で、木の質感と繊細に織られたレースを表現するのがどんなに難しかったことか!
第13回、2002年のフラワーカーペットは、フランス・ヴェルサイユ宮殿の庭園からアイディアを得ています。
円、曲線、渦巻き模様などをモチーフとしており、低木も置かれました。
2000年、2002年のフラワーカーペットでは、数千人もの人々がフラワーカーペットを見に集まったそうです。
第14回、2004年のフラワーカーペットはアールヌーヴォーがテーマでした。
有機的な曲線を用いた壮大な花のステンドグラスが造られました。
ベルギーはアールヌーヴォー建築発祥の地で、今でも多くの建物が残っています。
第15回、2006年は、風車のような形をした9つの花飾りが設置され、対称的でバランスの取れたフラワーカーペットに軽やかさが加わった作品となりました。
第16回、2008年のフラワーカーペットは、18世紀のフランスのタペストリーからインスピレーションを得て造られました。その頃(17世紀末)には、ブリュッセルはフランス軍ルイ14世の攻撃を受け、5,000棟もの建物が破壊されるという事件がありましたので、ブリュッセル市民にとってはいい感情はないのでは?という気もしますが、それとこれとは話が別だということのようです。
また、この年から、「音と光のショー」が開催されるようになり、期間中は毎晩フラワーカーペットが華々しくライトアップされるようになりました。
第17回、2010年は、ベルギーがEUの議長国となったことを記念して、中央に置かれた噴水の周りにEUのロゴが表されました。
大きな噴水の周りに、EUの旗を思い起こさせる、小さな12個の噴水が造られました。
第18回、2012年はアフリカがテーマ!エチオピア、コンゴ、ナイジェリア、ボツワナ、カメルーンの各民族がフュージョンされたデザインに、人々は遠いアフリカの地を想像させられます。
第19回、2014年は、ベルギーのトルコ移民受け入れ50周年を祝うフラワーカーペットが製作されました。
トルコ伝統の織物「キリム」の幾何学的なデザインが取り入れられました。
そして、第20回、2016年のフラワーカーペットは、『日本』がテーマでした。
ベルギーと日本からの園芸師とボランティアの美しい和柄が再現されて鮮やかな「花鳥風月」をテーマにした花の絨毯がグランプラスに敷かれました。
このように毎回楽しませてくれる、フラワーカーペット!今年のフラワーカーペットもどのような完成になるのかとても楽しみですね!
テーマが変わるので、それも楽しみの一つです!
2年に1度、4日間のみの開催となる貴重なフラワーカーペットを見に、ぜひブリュッセルへ足を運んでみてはいかがでしょうか?
*グランプラスのフラワーカーペット:2018年8月16日(木)~19日(日)