〇クレップリ― ブロセリアンド(Crêperie Brocéliande)
フランス料理というと身なりのきちんとしたギャルソンの給仕が付き、アペリティフ、前菜、主菜、デザートにワインといったコースメニューのイメージが強いかもしれませんが、クレープだってれっきとしたフランスを代表するフランス料理です。
フランスではそば粉を使ったクレープ生地にハムや卵、チーズなどを乗せたメイン料理をガレット、普通の小麦粉生地を使いフルーツやチョコレート等を入れたデザートをクレープといいますが、近年では日本でもフランス風のガレットもかなりメジャーになってきたようです。
クレープはブルターニュ地方の名物でパリではブルターニュからの列車が到着するモンパルナス駅周辺に多くのクレープ屋がありますが、今回はモンマルトルの丘の中腹にあり、観光の途中に寄れるブルターニュ出身のオーナーが経営するクレープ屋をご紹介したいとおもいます。
【クレップリ― ブロセリアンド(Crêperie Brocéliande)】
ピカソやモディリアニ、マチス、ルノワール等数々の芸術家達が集ったモンマルトルの丘の頂上に聳えるサクレクール寺院に上るケーブルカー乗り場の近くに小さな戸口のクレープ屋があります。
ジュテームの壁のある地下鉄12番線のアベス(abbesses)駅付近のトロワ・フレール通り沿い、駅から徒歩5分かからない場所ですが、周辺にもレストランがたくさんあり見落としやすいので注意して探してみてください。
狭い戸口を入ると石造りの壁にアンティーク調の家具、ギンガムチェックのテーブルクロスがどこか素朴で家庭的な雰囲気の小さな店内となっており、ブルターニュの田舎を感じさせてくれます。
普通のガレット、トラディショナルガレット、店のスペシャルガレット、デザートクレープといったカテゴリーに加えお得なランチセットと通常セットもあり、人気店にもかかわらず普通のクレープ屋と同様のお手頃な価格で注文でき、英語メニューもあります。
【フォアグラと鴨のクレープ】
本場のブルターニュ人の下をもうならせる程よい焼き加減の絶品のガレットの味はもちろんのことボリュームも満点。
ブルターニュ名物の炭酸入りのリンゴのお酒シードルと一緒にお召し上がりください。
【ブルターニュ名物シードル】
デザートにはやはりブルターニュ特産の塩バターキャラメル(caramel beurre salé)のクレープをどうぞ。
【塩バターキャラメルクレープ】
お酒が好きな方にはカルヴァドスやグランマルニエをフランベしたクレープはいかがでしょうか?
ここもやはり人気店ですので開店に合わせて行くか予約をしていった方がいいでしょう。
※おまけ:オ・ルヴァン・ダンタン(Au Levin d'Antan)
パリでは毎年バゲットコンクールというパリで一番のバゲットを決めるコンテストがあります。
そして優勝したパン屋は365日フランスの大統領府、シャンゼリゼ通りにあるエリゼ宮に1年間バゲットを届ける栄誉を得ることができるパリのパン屋憧れの賞です。
アベス駅のすぐ近くに青い屋根が目印の小さなパン屋でいつも混雑している人気のパン屋があります。
このパン屋が「オ・ルヴァン・ダンタン」で2011年のバゲットコンクールで見事優勝しており、その味はお墨付きです。
また同じ通り沿いでアベス駅からやや西よりへ歩いたところにもル・グルニエ・ア・パン・アベス(Le Grenier à Pain Abbesses)という2010年度、2015年度の2回優勝した名店もあります。
パリで是非本場のバゲットをと考えている方はクレープ屋ついでにここに寄ってみてはいかがでしょうか?
フランスのパン屋は通常パティスリーも兼ねているので、スウィーツ好きにもお勧めです。
3回にわたっていくつかのレストランをご紹介させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか?
パラスホテルや三ッ星シェフの高級レストランからクレープレストランのような大衆的な食堂までフランス料理と言っても様々です。
もちろんミシュランで星を勝ち取っているレストランでは味はもちろんのこと見た目からコース構成、レストランの内装や食器まで考え抜かれ洗練されたサービスを受けることができますが、一方で一般的なフランス人の大多数が楽しむ庶民的なレストランで出される料理もまたフランス料理です。
ミシュランはあくまで限られた一部のレストランを審査しているのであり、審査を受けていない大多数のレストランの中に思わぬ美食が眠っているかもしれません。
そしてそこで思いもよらぬ一皿との出会いが待っているかもしれません。
今回いくつかレストランを紹介させて頂きましたが、是非あなた自身で自分だけの特別なレストランやビストロ、カフェ等を探してみてはいかがでしょうか。
ただサービスはフランス式なので、お店や店員さんの気分によってはちょっと待たされたり冷たくされたりすることもあるかもしれませんが、そこは「自由」の国なので大目に見てくださいね。