気軽に楽しむパリのガストロノミー①


毎年自国の人口を遥かに超える8000万人以上の外国人が訪れる、誰もが認める世界一の観光大国フランス。
政府の発表によれば2017年の訪仏外国人の人数は8800万人~8900万人に達し2015年の記録を塗り替えたそうです。
日本でも2017年の訪日外国人数は一昨年よりも500万人近く増大し、約2870万人に達しましたが、まだまだ遠く及びませんね。
これほどまでに多くの観光客を引き寄せるフランスの魅力として、歴史的な文化財や芸術、ファッション等様々な要因が挙げられますが、その一つとしてフランスの美食も挙げることができるでしょう。
日本食は2013年に無形文化遺産としてユネスコに登録されましたが、フランス料理は2010年にユネスコに登録されており、世界三大美食の一つとして広く知られています。
フランス観光をする上でフランス料理というのはやはり欠かせない要素の一つといっても過言ではないでしょう。
一方で日本人にとってフレンチレストランというと高額で敷居が高いイメージを持たれがちで、なかなか足を踏み入れる勇気が出ない方も少なからずいらっしゃるかもしれません。
ですが、日本に高級料亭から蕎麦屋、お好み焼き屋、定食屋といった大衆食堂まで幅広くあるように、フレンチレストランと言っても様々で、実際に現地のフランス人もそんな敷居の高いレストランに行くことは稀です。
今回はカジュアルに訪れられるパリのフレンチレストランをいくつかピックアップしてご紹介していきたいと思います。


ブイヨン・シャルティエ(BOUILLON CHARTiER)

【大通りから入った路地の奥のエントランス】


パリ9区にある1896年にシャルティエ兄弟によって創業された歴史ある大衆レストランで120年以上経った今でもそのメニューはほぼ同じです。
パリジャンのみならず地方のフランス人や外国人、日本人にさえその名は知られている有名レストランなので、既にご存知の方も多いかもしれませんが、やはり格安レストランといえばここは外せないでしょう。
メトロ8番線、9番線が通るグランブールヴァール駅(Grands Boulevards)から徒歩1分かかりませんが、少し路地に入ったところにメインエントランスがあるので少しわかりずらいかもしれません。
予約不可の為、ランチとディナーの時間帯になると平日でも大勢の人が列をなし、日によっては通りまで人が並びます。
ですのでここで食事を考えている方は少し早めに行くのがベターでしょう。
フランスでは珍しくランチからディナーまで休まず営業しているので時間帯を外すのもいいかもしれません。

黒のベストに前掛けというまさにパリのギャルソンといった格好の店員に案内されて店内に入るとベルエポックと呼ばれた19世紀末から20世紀前半のアールヌーボー建築をそのまま残しています。
当時の駅構内を彷彿させるような中二階席もある吹き抜けの建物は歴史文化財に指定されており、まさにベルエポック当時の料理と建物に囲まれタイムスリップしたような気分を味わえます。

【黒のベストに蝶ネクタイ、前掛けの伝統的ギャルソンスタイル】


【19世紀そのままの内装に包まれた店内】


そしてなによりこのレストランの魅力は値段の安さでしょう。
エスカルゴも7€かからず、メイン料理も10€前後で注文することができ、鴨のコンフィや子羊のリブは大変人気です。
日替わりポタージュスープにいたってはなんと1€、デザートも全て4€以下に設定されています。
そしてもう一つの特徴的なのは会計方法です。
注文をするたびに担当のウェイターが目の前の紙のテーブルクロスの上にそのまま走り書きをし、最後に会計するときもテーブルクロスで暗算で計算をして伝票を作ります。
ウェイターはテーブル担当制で、なるべく自分の担当テーブルに客を入れるために全て席は相席制となっていますので、地元の人と相席になったら思い切ってお勧めを聞いて見るのもいいかもしれませんね。
一方ウェイターたちは回転率を上げるために忙しく動き回っていますので、注文はしっかり決めてなるべく手短に済ませてあげましょう。
あくまで大衆食堂ですので高級レストランのような行き届いたービスや洗練された味や盛り付け等を求める場所ではありませんが、値段の割には味のクオリティは高く、その雰囲気を味わうだけでも十分に価値があるのではないでしょうか。

【大通りに面した看板】



※おまけ:メディ・テラ・ネア(Medi Terra Nea)
ブイヨン・シャルティエのエントランスのある通りより少し北に上がったところにある地中海料理レストラン兼タパスバー。
店名のとおり(フランス語で地中海は「メディテラネ(Méditerranée)」)全体的に地中海をイメージしており、店内は青いタイルでデコレーションされています。
ここの特徴はなんといっても回転寿司風のコンベアで皿が回っていることです。
しかし皿に乗っているのは寿司ではなくタパスという地中海風のつまみや前菜。
スペインのカフェやバーではよく見かけるタパスという小皿料理をフランス風にアレンジしたものがまるで回転寿司さながらに店内を回っています。
料金は皿毎に張り付けられたシートに書かれており、メインの暖かい料理を頼みたい場合は別のメニューから選ぶといった方式です。
回転しているのはあくまでタパスのみなので、日本の回転寿司とはやや趣向が異なりますが、ブイヨン・シャルティエが混雑して待ち時間が長そうな場合はこちらを試してみるのも面白いかもしれません。

~次回に続く~






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