2016 UTMB参戦記その1 奥村様


 <UTMB>
ウルトラトレイル・デュ・モンブラン(UTMB)。
フランス東南部で8月末に開催され、ヨーロッパアルプス最高峰モンブランを3か国(フランス、スイス、イタリア)を巡って周遊する山岳ウルトラマラソンである。2016年は、距離:約100mile(171.1km)/累積標高:10,590m/制限時間:46時間30分に設定された。
100mileトレイルレースでは、事実上の世界No.1決定戦であり、世界大会として位置づけられている。例年約90か国から2500余名の選手が参加する。
 
<モンブラン>
モンブラン(仏: Mont Blanc 伊: Monte Bianco)は、フランスとイタリアの国境に位置する、ヨーロッパアルプスの最高峰。標高4810.9m。
ヨーロッパではロシアのエルブルス山に次ぎ高い山であり、西ヨーロッパでは最高峰である。フランス語でモン (Mont) は「山」、ブラン (Blanc) は「白」を意味し、「白い山」の意味である。イタリアでは、イタリア語で同じく「白い山」の意味のモンテ・ビアンコ (Monte Bianco) と呼ばれる。また、「白い婦人」を意味するLa Dame Blancheというフランス語の異名もある。
 
<UTMB DATA>
距離:171.1km(約100mile) 累積標高:10,590m
平地換算:265.3km(171.1km+10.059km×9.36km)
     ※累積標高1,000m=平地9,360mの公式による
     ※但し、酸素濃度、気温等は考慮しない
制限時間:46時間30分
出走者:2,555人(約90か国) 完走者:1,087人 完走率:42.54%

<結果>
走  者:奥村 康仁(おくむら やすひと)
   50歳(2016年8月26日現在)
総合順位:382位/2,555人
  50代:26位/412人(日本人2位/29人)
時  間:37時間57分38秒


 

【ChamonixからMont-Blancを望む】



【PROLOGUE】
 
UTMB(Ultra-Trail du Mont-Blanc®)。世界中のトレイルランナーが目指す世界最高峰の100mileレースだ。“All trails lead to UTMB”と言っても誰も否定しないだろう。この大会知ったのは、2009年にNHKが放映しその後発売されたDVDを2013年に見たのがきっかけである。僕自身、持久系スポーツをこよなく愛好しており、大学時代~20代後半まではクロスカントリースキーに没頭した。競技特性が合ったのかいくつか優勝・入賞を果たすことができた。社会人以降も国体には出場し一つの楽しい時代だった。社会人若かりし頃(20~30代)はトライアスロンにはまっていた。SWIMのウイークポイントがあり、番外1位は何度かあるもののこれまで約50戦で入賞はなし。しかし、皆が明るくて最高のスポーツだと感じた。そんな中40代後半でトレイルランニングと出会った。
 
丁度この40代後半頃、近所のおっさん(息子の同級生の親)で元プロトライアスリート日本代表のMr.Otoyanにトライアスロンに一緒に復帰しないかと誘われた。子育てもひと段落し復帰のタイミングとしては絶好であった。Mr.Otoyanの所属チームである高槻トライアスロンクラブ(通称:タカトラ)の門を叩いた。タカトラではスポーツは“楽しむ”を体現していた。ビギナーから日本代表までがトライアスロンと“酒”を楽しんでいた。

そのメンバーの中にひときわ異彩を放つ初老の60代半ばアスリートがいた。Mr.Momopékである。彼の本職は“山屋”だ。フルマラソンではかつて3週連続2時間30分台で走ったり、ロングトライアスロン大会で数々の年代別優勝・入賞をしている。その老兵と2014年夏北アルプスで5日間を過ごした。その時の雑談の中で心を打たれる言葉があった。「龍トラ(タカトラでの僕のニックネーム)。大会の参加を悩んでいるということは出たいってことや、その気持ちがあるうちに何でも出といたらええんや!!」彼にとっては何気ない言葉だったのだろうが僕の魂に響いた。
 
一般人がUTMBに参加するには、指定大会で必要pointを稼いで第0関門であるエントリー権利を獲得する必要がある。振り返ると、エントリーまでの道のりはトレイルと同じく変化に富み刺激的だった。2016年UTMBから9 points acquired between 2014/01/01 and 2015/12/31 (in 3 races maximum)と要項が発表された。世界中でUTMBが注目され100mileトレイルの世界選手権と化してしまい、エントリーするための必要pointが年々アップされた。その時の僕のpointは8Pで1P足りない。簡単に言うと100kmレースを完走すれば3P、100mileレースを完走すれば4Pである。そうすると、point有効期間の2年間に100km以上のトレイルレースを3本完走する必要があった。夢は早くて2017年以降の実現と考えていた。
 
2015年8月、北アルプス立山連峰で夏山をひとり堪能していた。たまたま、関東から来ていたデザイン家S氏夫妻と野営場で隣合わせになった。ひょんなことから晩ご飯を共にしお互いがトレイルランナーであり、S氏はUTMBへ参加した経験があるとのことであった。UTMBの素晴らしさ、アルプスの絶景さを聞いて気持ちは益々高ぶった。僕の計画は2016年にUTMBの姉妹大会である国内100mileレースUTMF(ウルトラトレイル・マウントフジ)に参戦し、2017年にUTMBと考えていた。しかし、S氏の話を聞き一年でも早く参加したくなった。国内では3P以上の年内大会でエントリーできる大会が既にない。すると、FTR100(奥武蔵104kmトレイル大会)が11月に第1回大会として開催されると聞かされた。もう自分の決心は固まった。

下山後FTR100にエントリーし、11月に完走しギリギリ9P獲得に間に合わせた。このS氏夫妻との出会いがなければ僕のUTMB実現はまだまだ夢であった。
日本国内指定大会でpoint取得し、UTMBエントリー権利を獲得し昨年(2015年12月)エントリーした。そして、翌年1月13日に参加決定通知が届いた。その日は、奇しくも僕の50歳の誕生日であった。素晴らし誕生日プレゼントを手にした瞬間だった。
 
 


Staff Comment
 





**********************************
ヨーロッパ周遊旅行の専門店 ユーロエクスプレス
ユーロエクスプレス
**********************************