2017 フランスカルカッソンヌ「グランレイド・カター170km」ご参加 梅原様  その3 いよいよゴールへ


そう言えば、ずっと確認していない、ということに気づき慌てて戻ります。かなりの距離を戻りました。時間にして、30分はロスしたかな?イヤもっと‥。 

気落ちしつつ、当レースの最高地点を目指します。

最高地点と言っても標高は1189mで驚くほど高いわけではありません。標高差も800mくらいだったかと思います。「いくら登りが苦手でも、まあそれくらいなら‥」と思ったら、これが間違いで、標高を上げるに従い、トレイルは徐々に岩場へと変化し、風は益々強くなっていきます。周囲に風を遮るような木々はなく、完全に吹きっさらしです。高度を増すごとに斜度はきつくなり、やがて四つん這いで進むことになりました。時折、強風が突風に変わり、カラダが持っていかれそうになります。必死に岩にしがみつきながら、ピークを越え、山を下ります。

この山越えはとても緊張しましたし、これまでの疲れも出てきました。

どうにか2度目の“Chateau dArques”に到着します。

 

エイドでデポ品を受け取り、再度味噌汁入りおかゆをいただきます。

私が来るまでの間、妻はエイドの手伝いをしたり、古城の中に設置された仮眠所で寝たり、近くの村までパンを買いに行ったり、とまあそれなりに楽しんだ?模様です。

このような機会がなければ絶対に訪れないような片田舎(失礼)を訪れ、古城に寝泊まりするなど、貴重な体験ができて良かったのでは、と他人事ながら思います。

 

★ エイドについてですが、エイドはどこも非常に暖かく私(や他のランナー)を迎えてくれました。村々のおじいちゃん、おばあちゃんが中心になってエイドを運営している、といった印象でした。

私が到着すると「ワーッ」と盛り上がり、「暖かい食べ物欲しくないか?」「必要なものはないか?」「水を補給しようか?」とか矢継ぎ早に聞いてきます。5秒くらいジッとしていると「大丈夫か?元気か?」と心配してくれます。

とてもありがたいのですが、うっかり疲れた表情を見せられません。

余りに進めてくれるので、何度か即席めんをいただきました。疲れていて、全部は食べられませんでしたが。

中には村長らしき人が来て、「よし日本人と集合写真を撮るぞ」みたいなことを言って、集合写真を撮りました。


Chateau dArques”に到着した時点で、脚は大分疲労を抱え、痛みを持つようになってきました。左アキレス腱と脛、右ヒザ裏と土踏まず、左ハムスト、臀部、両大腿筋、要は脚全体です。特に走り出しは痛みがひどく、歩きが多くなります。

 

このあたりから、他のランナーに次々と抜かれるようになりました。あまりに多いので不思議に思っていると、どうやら100km部門のランナーのようです。100km部門は“Chateau dArques”が折り返し地点となります。ただその中には100マイルのランナーも混ざっていたのかもしれません。

 

“楽しむ勇気”とか“神の領域”とか、某カリスマランナーさんがおっしゃる域には到底たどり着けず、歩く時間帯が多くなりました。過去の100マイルレース史上最大の眠気にも襲われ、やがて2度目のミスコース。1度目と同じような登りの林道でわき道を見逃してしまい、しばらく歩いた後、慌てて戻りました。

いよいよテンションは下がり、ついでに速度も下がっていきます。

「日本人一位とか、言うんじゃなかったかな‥」などと考えながら、残り20Kほど。

 

さすがに、このままの流れでは、いつゴールできるかわかりません。ゴールするのならなるべく早く。ここで気持ちを切り替え、前方に見えるランナーを追います。やはり100kmのランナーでしょうか?登りも下りも速い。必死で彼を追っているうちに、脚の痛みは気にならなくなってきました。「なんだ、やれば出来るじゃん」「むしろ、なぜ今までやらなかった?」などと自問自答しながら進みます。

 

山道を進み、小高い丘を越えて、ブドウ畑の中を進むと、遠くに明かりの中に浮かび上がるお城が見えてきました。170kmの行程の果てにたどり着いたゴールが見えるというのはやはり感慨深いものがあります。

あとは城内を抜けて、反対側にある城門にたどり着けばゴールです。

 

お城に入り、蛍光テープに従い進みます。外壁と内壁の間の通路をとおり、城内へは入らず‥更に先へ進み、最終盤ではありえないくらいの段差の石段を越え、お城なのに激下りを下り、城外の教会へと出る‥。城外へ出る?どういうこと??

ひどくまずい状況です。私にとって城内に入らずゴールすることはあり得ません(YouTubeではそうなっていた)。また間違えたのか?もう一度、お城の入り口まで戻り、蛍光テープに沿って進みます。やはり城外の教会へたどり着きました。もうパニックです。ゴールを目前にしながらゴールできない。深夜で周囲には誰もいない。どうしようかウロウロ。

そうしているうちに、街中の道路に新たな蛍光テープを見つけました。「城外から直接、門に向かうのかな?」半信半疑のまま進むと、途中で妻と遭遇しました。彼女によるとゴール地点が変わったとのこと!?ゴールはお城ではなく、“下町”の受付会場だ、ということです。

 

 

お城から出発し、お城に戻ってきて大団円、という私の持っていたイメージと異なり、ちょっぴりガッカリな部分もありますが、ともかくゴールをしなければなりません。“シテ”と“下町”とつなぐ橋を通ると、確かにそこにはゴールがあります。ようやくゴール。時間は深夜の2時。ゴールで完走メダルをかけてくれるオネーサンと記念写真を撮ってくれるおじさんの2人しかいない(あと妻)、ゴールでしたが、ゴールした充実感は皆一緒です。

 

◆ レース後

翌日は、雲一つない快晴です。私にとっては嫌味としか思えないくらい気持のよい天気です。当日早朝から別の42km部門のレースが行われています。彼らはさぞ気持ちの良いレースができたことでしょう。

 

100マイル、100km42kmのランナーがごっちゃになったゴールを観戦し、表彰式、アフターパーティーの行われる受付会場へと向かいます。

個人的にはあまり気の晴れないレース結果となってしまいました。コースを何度も間違え(大きなものは3回、小さなものも入れれば10回ほど)、少なくとも1時間はタイムロスしてしまいました。挙句の果てゴール地点がわからないという体たらく。何よりもいただけないのは、途中疲労と眠気に負けて、まともに走らなかった区間がある、ということです。結局いつものとおり私は自分に負けてしまいました。

 

42km部門、100km部門と表彰式が行われ、いよいよ100マイル。始まるとすぐに責任者(と思われる)の一人、シェリーさんが、私に近寄り、「ちょっと待ってて」と言ってきました。はるばる遠く日本からやってきた唯一のランナー。“はるばる来たで賞”みたいなものでもくれるのかな?と妻と話していたら、なんと総合9位ということで、壇上に呼ばれました。本当の入賞です。

 

これまで年代別の入賞はいただいたことがありましたが、なにせ40台後半の平凡な1ランナー。これまで総合入賞などありませんでした。マイナー(失礼)とはいえ初めての入賞がフランスでいただけるとは‥。石でできたプレートと商品を渡され、晴れやかな気持ちになります。ロストもしたし、自分にも負けたし、でもまあいいか♪


表彰式の後は、同会場でアフターパーティーが開かれます。中世風の衣装を身にまとった大道芸人のショーは陽気で楽しいものです。皆にふるまわれた料理は“カスレ”という郷土料理です。カモ肉とソーセージとインゲン豆の煮込み料理で、これがとても美味しい!当地に到着してから料理店でもカスレを食べましたが、当会場で食べたカスレは、それを上回る味でした。デザートにでた“クレームカタラーヌ”というやはり当地のプリンもとても美味しくいただきました。お酒はもちろん参加賞の赤ワイン。少し辛めのワインでしたが、もちろんおいしい。100マイルを走った翌日なので胃腸は疲弊していたことと思います。その割にたくさん食べてしまい、その後、随分と苦しい思いをしました。しかし、アフターパーティーはぜひ出席されることをお勧めします。


◆ 総評

このように、レース内容については満足のいくものではありませんでしたが、運よく入賞はできましたし、旅行そのものは楽しいものでした。コースも全般的には私好みです。なによりも当レースに関わるスタッフの方々の暖かな対応や、私とすれ違う際、必ずと言っていいほどあいさつを交わすランナーの清々しさ、これらが「グランレイド・カター」というレースを印象深いものにしてくれました。可能ならば来年もぜひ参加させていただきたいと思います。


最後になりましたが、挙動不審の私たちに、真っ先に「コンニチハ」と声をかけていただいたレイモンドさん。彼女がいなければ私たちの旅はこれほど快適なものにはならなかったでしょう。そしてレース責任者のミッシェルさんやシェリーさん、そして私たちのわがままな要求にこたえてくださったスタッフの皆さんにこの場を借りてお礼を申し上げます。

もちろん、当レースを紹介、コーディネートしてくださったフィールズ・オン・アース様にも感謝いたします。



 

 

 

 

 

 

 



Staff Comment
梅原様

非常に過酷な悪天候の中のグランレイド カター170kmのご完走、そして9位という素晴らしい成績、
本当におめでとうございます!

今回は現地係員付きのツアーとしての最少催行人数に至らず、いろいろとご不自由おかけいたしました。
ゴール地点の変更等、事前確認がいたらず、十分なご案内ができていなかったこと、ご指摘いただき本当にありがとうございます。

今後の改善に努め、より安心してご参加いただけるようにいたします。

今回のツアーキャンペーン通り、総合10位以内ゴールされた梅原様には
フィールズオンアースの次回ツアー「半額にてご参加」をプレゼントさせていただきます!!

フィールズオンアースの各トレイルツアーキャンペーン賞品獲得、第1号のお客様です!
ぜひ、また海外レースご参加の際はお声がけいただけたら幸いです。

2017年は、ぜひお仲間の皆様もお誘いいただき、表彰台を狙ってください!

奥様ともども、ご利用いただきまして誠にありがとうございました!
また、素晴らしい旅行記をお寄せいただき、心より感謝申し上げます。

フィールズオンアース
スタッフ一同
代表 久保






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