今から4から500年前、人々は度重なる戦禍や病気・ペストの脅威の中で暮らしていました。そのような中、神様のご加護への感謝と祈りの表明として、受難劇が広くアルプス地方で始められたと言われています。1613年、アルトエッティングのグナーデン教会へ巡礼者がエルルを訪問し観劇したと古い言い伝えが残っています。

ドイツ・オーバーアマガウに比べて規模は小さいものの、歴史は30年ほど古いです。エルルの人々は400年にもわたり受難劇を通して、平和への祈りを受け継いできたのです。

歴史を辿ると、村の民家や醸造所で上演されてきました。1958年に1500席の専用劇場が完成。舞台にはウィーンのブルク劇場舞台デザイナーが考案した、ゴルゴダの丘へのつづら折りの道がセットされています。丘陵の中に建つ白い巻貝のような形をした劇場は見事に周囲の自然と調和しています。

雰囲気のある灯火の下、ライブのオーケストラと合唱は臨場感を高めます。休憩をはさみ13時～16時の上演です。

エルルへはミュンヘン、ザルツブルク、インスブルックのどの街からも距離としては90キロ程、送迎車で1時間強で着きます。アルプス麓の風光明媚な地方ですので、受難劇の前後の観光には事欠きません。

中でも、ドイツ・ノイシュヴァンシュタイン城はドイツ随一の人気の城。途中にはヨーロッパ一美しいロココ様式の教会と讃えられる世界遺産のヴィース巡礼教会もございます。ミュンヘンからの日帰りバスツアーや専用車で出掛けるのはいかがでしょうか？