中央アジアにいた遊牧民のブルガール人と、スラブ人を祖先にもち、オスマン朝に約500年間支配されていたブルガリアは、ヨーロッパでもどことなくアジアな雰囲気です。教会などの外観も西欧のそれとはだいぶ異なります。また、ブルガール人とスラブ人が侵入する前に住んでいた古代トラキア人の遺産が多く残っています。人口約725万人。8割がブルガリア人ですが、トルコ人も1割を占めます。大多数がブルガリア正教を信仰しています。公用語はブルガリア語ですが、ロシア語とかなり似ています。通貨は「レフ」です。観光の場合、90日以内の滞在ならビザは必要ありません。パスポートの残存有効期間は入国時6ヶ月以上が必要です。国土の中央にあるバルカン山脈の北と南では、気温や雨量が大きく異なります。北側は冬が厳しく、南側は温暖な気候です。5～6月は国内最大のフェスティバル「バラ祭り」があり、ベストシーズンです。ブルガリア料理はトルコやギリシャと共通するものが多いです。また、ヨーグルトの国だけに、乳製品を多用するのも特徴です。世界的に有名なブルガリア産ワインと共に味わってみてください。お土産はなんといってもバラグッズ！バラのジャムもあります。喜ばれること間違いなし。

ブルガリアの首都ソフィアは、標高550mに位置する高原都市です。周囲を山々に囲まれた盆地で、水が美味しいことでも有名です。人口約149万人。かつての社会主義を感じさせるものは、もうほとんど存在しませんが、旧共産党本部の建物がその歴史を偲ばせます。すぐ前にある地下道から、セルディカの遺跡へ行くことができます。街中には宗教に関連する見どころが溢れています。緑のドームが印象的な聖ネデリャ教会、屋根だけが地表に出ている聖ペトカ地下教会、典型的なオスマン朝時代のイスラム寺院バーニャ・バシ・ジャーミャ、シナゴーグとしてはヨーロッパ最大のソフィア・シナゴーグ、金色のネギ坊主がロシアっぽい聖ニコライ・ロシア教会、そしてブルガリア最大で最も美しいといわれる、ソフィアで一番の観光名所アレクサンダル・ネフスキー寺院。どれも見応え十分です。中央市場であるセントラル・ハリで、現地の人の生活を垣間見るのも楽しいです。近郊には、世界遺産となっているボヤナ教会や、国内最大の博物館である国立歴史博物館などがあります。

ブルガリア人にも人気の観光地ヴェリコ・タルノヴォ。幾つもの丘とヤントラ川の切り立った崖のコントラストは、中欧でも際立つ美しさです。階段状に織りなす中世の街並みは必見です。かつて第二次ブルガリア帝国の首都だった場所です。3つの丘には、当時の城塞などの遺跡が残っています。特に賑やかなのが、旧市街にあるサモヴォドスカ・チャルシャ。「チャルシャ」は市場を意味します。金銀細工、陶器、織物、革製品などの職人街で、どの店も工房を兼ねています。職人が作ったものをその場で売っているので、質の良い素敵なお土産が見つかるかもしれません。伝統的な建物が並ぶ石畳の街並みは、歩いているだけでも楽しくなります。頂上に教会が建つ丘は、ツァレヴェッツの丘です。ここからは旧市街が一望できます。ツァレヴェッツの音と光のショーも不定期に行われています。近郊には、イコノタスが見事な聖誕教会があるアルバナシがあります。ヴェリコ・タルノヴォからバラ祭りで有名なカザンラクまでの間には、民族復興期の職人街を再現したエタル野外博物館や、露土戦争の激戦の舞台となったシプカなどがあります。ヴェリコ・タルノヴォは観光拠点としてもお勧めです。

ソフィアから車で3時間程の距離で、日帰りも可能です。ブルガリアに行ったら必ず見たい、ブルガリア正教の総本山ともいうべきリラの僧院はあります。色彩が極めて豊かな独特な外観は、深い山間で異彩を放っています。ヴォールト部分にまで描かれた極彩色のフレスコ画は非常に珍しく、美術的価値も高いといわれています。教会内正面の多くのイコンで飾られた壁イコノタスは、ブルガリア正教ではなくてはならないものです。建物は1833年の大火事で燃えてしまいましたが、唯一フレリョの塔は免れました。リラの僧院は世界遺産として登録されています。また、僧院周辺はリラ国立公園となっており、国内屈指の美しさを誇る「リラ七つの湖」があります。全てを回るには4～5時間かかります。様々なトレッキングコースも整備されています。近郊にあるブラゴエフグラッドから行くのもお勧めです。やはり色彩に目を奪われる受胎告知教会で有名な町です。

山脈に挟まれたトラキア平原にあるプロヴディフは、人口約34万人のブルガリア代2の都市です。紀元前19世紀には既にトラキア人の集落があり、紀元前4世紀にはマケドニアの主要都市の一つでした。その後、ローマ帝国が征服するとトリモンティウム（3つの丘）と呼ばれました。街中には、ローマ帝国時代の遺跡が数多く残ります。その代表的なものが、旧市街の断崖にあるローマ劇場跡でしょう。保存状態は大変良く、夏は野外劇も開催されます。旧市街の見どころは、遺跡だけではありません。独特な色合いや形状が面白い、古いお屋敷がたくさんあります。プロヴディフ屈指の写真スポットです！見ているだけでも楽しいですが、博物館やショップになっているお屋敷もあるので、ぜひ中に入ってみてください。近郊には、リラの僧院に次いで美しいといわれているバチコヴォ僧院があります。

黒海沿岸のヴァルナは、ソフィア、プロヴディフに次ぐブルガリア第3の都市で、夏の首都ともいわれています。人口約34万人の都市ですが、夏は観光客が大勢押し寄せ、人口は一気に膨れ上がります。リゾート地なので、比較的英語も通じます。見どころは町のシンボル大聖堂です。ヴァルナは市営ビーチなので、リゾート気分を満喫したければ、4kmに渡って続く砂浜が楽しめるゴールデン・サンズのほうがお勧めです。ブルガスも黒海沿岸の大きな町です。漁師が集落をつくったのが始まりといわれ、現在工業都市として活気づいています。ブルガスからは、世界遺産の古代都市ネセバルや、古い木造建築が歴史を感じさせてくれるソゾポルへ行くのに便利です。ネセバルは、聖パントクラトール教会をはじめ、歴史的に貴重なものも多くあります。まさに素晴らしい文化と真っ青な美しい海の両方が楽しめます！ゴールデン・サンズと並ぶ黒海の代表的なリゾートのサニー・ビーチも近いです。マリンスポーツも豊富です。