ユーラシアと北米という大きなプレートの境目にある島国がアイスランド。
その国土は多くの火山や氷河、温泉や溶岩台地など多種多様な自然に富んでいます。
そんなアイスランドで地熱利用の歴史は長く、20世紀前半から汲まれた温水が温室や暖房に使われてきた。ですが、自然由来のエネルギーについて本格的に開発を始めたのは1973年に起こったオイルショック。これで世界は火力発電に代わる新しい発電システムを探し始め、日本が原子力発電に舵を切ったのに対してアイスランドは水力や地熱発電で混乱した経済を落ち着かせようとしました。
この流れは2008年のリーマンショックで金融破たん状態に追い込まれた後、観光・自然立国として再建しようというコンセプトの下、国家事業としてさらに注力され始めたんです。
現在アイスランドで大きな地熱発電所は、ヘリトスヘイジ地熱発電所とスバルツエンギ地熱発電所の二つです。
ヘリトスヘイジ地熱発電所では2006年に運転が始まり、発電のタービン分野で8割近くという圧倒的シェアを誇る日本の三菱重工と東芝のタービンを使って、現在世界二位の規模でレイキャビークに電力と温水を供給しています。
アイスランド最大級の露天温泉・ブルーラグーンでは乳液の原料となるシリカを多分に含んでいるために美白効果があるとされ、国内外から年間40万人とも言われる人が訪れています。そのすぐ脇に立地しているのがスバルツエンギ地熱発電所は、2000メートルの地底から噴出してくる蒸気と温水のうち蒸気で稼動し、温水がこのブルーラグーンの源泉となっているんです。
将来的に地熱発電が日本でももっとメジャーになれば、いいのですが。