ソーセージとビール、そしてバームクーヘンがドイツの食なのか?(前編)


ドイツ料理、というと皆様は何を思い浮かべるでしょうか?ソーセージとビール。お酒好きな方ならそう答えるでしょう。某アニメの主人公は、同僚(赤い髪のドイツ人とのハーフ)にバームクーヘンと答えました。さてその認識は正しいのか、それともただのステレオタイプなのでしょうか?

とりあえず...ビール!

結論から申し上げると、半分正解、半分不正解です。確かにドイツ人は(暇さえあれば)ビールを飲んでいます。ビールが大好きです。休日は朝から飲む方々もいらっしゃいます。でも、1人当たりのビール消費量が世界一なのは...実はお隣のチェコ(2014年統計)。ドイツは同年、4位に甘んじています。

ただ日本人に比べると2.5倍の量。ビール大国であることは間違いありません。

日本に比較して大きく異なる点は、大手の会社があり、その生産、消費量が寡占状態ではないということ。いわゆる地ビールというものが強く、地域密着型であることが特徴に挙げられます。

例えば日本で入手可能なビールでいうと、以下のように醸造所は様々な場所に分散しています。

・レーベンブロイLöwenbräu)=ミュンヘン

・ベックス(Becks)=ブレーメン

・イェーヴァー(Jever)=イェーファー(ドイツ北西部)

・エルディンガー(Erdinger)=エルディング(ミュンヘン郊外)

・ケストリッツァー(Köstritzer)=バート・ケストリッツ(ドイツ中部)

・ドームケルシュ(Dom Kölsch)=ケルン

(写真はフリュー社のケルシュ)

最近は日本でも地ビールが人気となっていますが、ドイツでは昔から当たり前のこと。地元で作ったものを地元で消費する、地産地消という形はビール以外のものでも日本は見習わなくてはいけないものですね。

ちなみにドイツには「ビール純粋令」という法律があり、「ビールは、麦芽・ホップ・水・酵母のみを原料とする」 という1516年に制定されたものが現在でも守られています。余計なものが入らない、必要なものを引かない、そのためにビールがビールというアイデンティティーを保っていられることが、「ドイツといえばビール」という考え方を広めた要因なのかもしれません。

何はともあれ、ドイツを旅行した際にはその土地でしか飲めないビールを飲む、ということをお勧めしたいと思います。

ソーセージはおつまみ

お次はソーセージに話題を移しましょう。ドイツではソーセージの事をヴルスト(Wurst)と呼びます。こちらもビール同様、各地に名産があり、見かけ、味、大きさに様々なバリエーションが見られます。

日本ではフランクフルトというと、都市名というよりかは屋台でよく見られる衣付きの串にささったものの知名度が高いですが、本場のもの(フランクフルター・ヴルスト、「フランクフルトの」という意味)はこんな感じ(↓)

…日本でよく知られている一般的なソーセージですよね、これ(笑)ただ、かなり長く大きいです。もちろん美味しいですが、普通です。

では珍しいソーセージにはどんなものがあるかご紹介しましょう。ニュルンベルガー(ニュルンベルクのもの)は何種類かのハーブが練りこまれ、小指サイズのもの。チューリンガー(チューリンゲン地方のもの、ドイツ中部)はニュルンベルガーをかなり太く大きくしたようなものだと思ってください。焼くと香ばしさが際立ち、パンに挟んで食べるスタイルが人気のソーセージ。後はヴァイスヴルスト(白ソーセージ)という茹でたものを、皮を剥いで(これが重要!)甘いマスタードを付けて食べるなんていうものもあります。

(写真はチューリンガー)

調理の仕方という点では、カリーヴルストというものがドイツではポピュラー。焼いたソーセージを輪切りにし、ケチャップベースのソースをかけ、カレー粉をまぶす。付け合わせはフライドポテト。これ、病みつきになります。カロリーの事は忘れて下さいね(笑)

ここに挙げているのはほんの一部、実際はもっとバリエーションが豊かです。でもお気づきでしょうか?そう、ソーセージは日本同様、あくまで料理の脇役、もしくはドイツ人にとってみれば軽食やおやつ程度にしか思われていません。「ドイツ人はソーセージばかり食べる」なんていうのは「日本人は寿司を食べて生きている」というようなもので、主食、メインディッシュはもちろん別枠で存在します。

主食はパンです

忘れていました、ドイツはジャガイモ、というイメージを持たれている方もいらっしゃいますね。確かにジャガイモを使った料理も多く存在しますが、こちらもあくまで脇役。ジャガイモ料理に関しては後ほど説明いたしますが、主食はパンです。

さて、パンの事を話す前に、ドイツの食生活について簡単に説明しようと思います。一般的な一日の流れですが、まず朝食。パンを食べます。昼食や夕食に関して言えば、日本と大きな差があり、ドイツの食事は昼ごはんがメイン。夜ご飯はパンと軽いもので済ませます。そのためパンというものはドイツの食卓では非常に重要な役割を果たすことになります。

パンの種類は大きく分けて2種類。ブロート(Brot)とブレートヒェン(Brötchen)。違いを挙げてみましょう。

【ブロート】

・大きい

・薄く切り分けて、食べる

・ジャム・ヌッテラ(イタリア生まれのチョコレートペースト)などを塗って食べたり、ハムやチーズなどを載せて食べる

・日持ちする

【ブレートヒェン】

・手のひらサイズ

・まんまる

・横に二つに切り、ジャム・ヌッテラ(イタリア生まれのチョコレートペースト)などを塗って食べたり、ハムやチーズなどを挟んで食べる

・賞味期限はその日

食べ方は基本変わりません。ただ朝食にブレートヒェン、夕食にブロートを多く食べる傾向にあります。ブロートは切り分けるという目的があるため、日持ちします。逆にブレートヒェンは放置すると固くなってしまうため、朝早くパン屋さんで買ってきてそのまますぐに食べなければ美味しくありません。

スーパーなど大型の店舗が増えていくご時世、どんな田舎の町でもパン屋さんだけはなくならないのはこういった食文化が今でも根付いていることが大きな理由ではないでしょうか?

ちなみに特にブレートヒェンに関して言えば、出来立てのものはとても美味しいです。日本のパンとは比べ物にならないレベルです。外はカリカリ、中はフワリとしていて、もっちりした食感が何とも言えません。是非とも一度味わって頂きたいと思います。

さて、ドイツの食を語るにはどうもイメージしたよりもかなりの量が必要になることに気づきました(笑)次回、メインディッシュとデザートについて少し話を広げてみようと思います。(後編へ続く)








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