神々の黄昏ールートヴィッヒ2世の生涯


ドイツを語る上で欠かせない人物の一人にルートヴィッヒ2世がいます。
ノイシュヴァンシュタイン城をはじめとする豪華なお城を幾つか建てたことで知られている人物ですね。
「狂王」や「メルヘン王」とも呼ばれた彼の人生をご紹介いたしましょう。
1845
825日、ヴィッテルスバッハ家のマキシミリアン2世の長男としてミュンヘンのニンフェンブルク城で生を受けました。
祖父であるルートヴィッヒ1世と同じ日、同じ時間帯に生まれたことから同じ「ルートヴィッヒ」の名を受け継ぐことに。

(写真は彼の生まれたニンフェンブルク城)


子供の頃に経験したこと、置かれた環境は成長する過程、成人した後において大きな影響を及ぼすものです。
そんな「トラウマ」と呼ばれるものはルートヴィッヒにもありました…
父親であるマキシミリアン2世は非常に厳格で多忙な人物で、彼ルートヴィッヒと弟のオットー(3歳年下)に接する時間はほんの少し、十分に親からの愛情を得られませんでした。幼少時代の大半はホーエンシュヴァンガウ城で中世の騎士伝説、英雄伝説の物語を読んで過ごしていたようです。
孤独な幼少時代は、その後の自分の殻に閉じこもった性格を生み出すものになっていくのです


(写真は幼少期を過ごしたホーエンシュヴァンガウ城)
ルートヴィッヒが15歳の時、彼の運命を大きく決めてしまうことがありました。
それはミュンヘンの宮廷歌劇場でワーグナーの「ローエングリン」を鑑賞し、すっかり心を奪われてしまったことです。
キタ━(゚∀゚)━!
という心情だったんでしょうね()
まさしく幼少期に本の中で触れた騎士伝説、英雄伝説が目の前で体現され、ワーグナーに陶酔した瞬間でした。それが悲劇への第一歩とはつゆ知らず…


(
写真はミュンヘン宮廷歌劇場、現国立歌劇場)


1864
年、父親のマクシミリアン2世が逝去し、わずか18歳でバイエルン国王に即位したルートヴィッヒ。
王に君臨し、まず行ったことは…
子供のころに感銘を受けたオペラの作曲家ワーグナーを宮廷に招いたことです、やはり…
パトロンとして多大な資産を与えて、それに応えて王を満足させていたワーグナーですが、側近たちは快く思っていなかったようです。
結局、家臣たちの進言受け入れ、1年ほどでワーグナーを追放してしまいます。
3)チェッ
ルートヴィッヒはすねてしまいました。そしてどういう行動に出たかというと…
ワーグナーを手放したルートヴィッヒは完全に王族としての執務を怠るようになります。(中身はおもちゃを取り上げられた子供のようなものですから…)
そして、もう一つの憧れである中世のロマンを体現化することに傾倒していきます。
ご存じノイシュヴァンシュタイン城、ヘレンキームゼー城、リンダーホフ城の建設です。
あのような豪華なお城ですから、それはもう多額の費用を必要としたことは言うまでもありません。
もちろん、その費用は国民からの税金。美男子として人気のあった彼ですが、さすがに国民には許せなかったことでしょう…


(
写真は冬のリンダーホフ城)

バイエルン王国は普墺戦争(プロイセンvsオーストリア帝国、1866)でオーストリア側について参戦し、敗戦したことを受けて多額の賠償金を払うことになってしまいました。もっともルートヴィッヒは戦争には参加したくないと思っていましたが…
この頃から(さらに)自分の殻に閉じこもるようになり、現実逃避や奇行が目立ってきました。かつての端正な顔立ちは見る影もなく、体重も太り目つきも怪しくなっていたそうです。
それを見かねた家臣たちは1886612日、彼を逮捕し廃位させてしまいました。そして…
逮捕されたルートヴィッヒはシュタルンベルク湖畔にあるベルク城に送られました。
そして翌日の1886613日、医師のフォン・グッデンとともに水死体として発見されました。一説には入水自殺を止めようとしたグッデンの首を絞めて殺害し、その後自ら入水したというものがありますが、現在まで真相は謎に包まれたままです…

『王は狂人ではありませんでした。ただ夢の世界に閉じ籠もって風変わりな暮らしをしていただけです。人々が彼をもっと寛大に扱っていたら、こんな恐ろしい最期を遂げなくてすんだことでしょう』

オーストリア=ハンガリー帝国フランツ・ヨーゼフ1世の王妃エリザベートがルートヴィッヒの死の知らせを聞いた時の言葉です。

人は生まれる時代を選べません。もし、ルートヴィッヒが違う時代に生まれていれば、こんな悲劇的な人生を歩まなかったかもしれません。
皮肉にも彼の建設したお城は現在、ドイツおよびバイエルン州の貴重な観光資源となっています。
遺産、それは後々になってから初めて価値が出るもの。少し悲しい話ですね…

さて、これは1972年の「ルートヴィヒ/神々の黄昏」という映画の内容を(かなり)端折って、実際に舞台になった場所とを合わせてご紹介したものです。
一つのストーリーにこれだけの場所が関わっていくとは...書いている本人もビックリですが…
こういったテーマを元に旅を作っていくのもいいものです。是非一貫したストーリーを軸に旅行の計画を立ててみて下さいね♪









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