2018 5/2-10 インドネシア・RINJANI100参加ツアー 参戦記④ リンジャニ山頂3726mからのダウンヒル~ドロップバックエイド


 

【重要なのは、いかに下りを攻略するか】

リンジャニ山頂3726mからは約20㎞にわたる長いテクニカルなダウンヒルが待ち構え、ここでの足の消耗をいかにセーブするかが非常に重要なポイントです。2時間半はひたすら下り続けることになります。


下りでも着地の瞬間にポールを突き、足にかかるウェイトをできる限り軽減するように心がけて、下りを進みます。大会前にモニターとしてSINANOのトレランポール13.6Proをご提供いただき、このポールにスタートからゴールまで助けられます。


非常に急でスリッピーな下りが続き、何度も転倒しかけますが、ポールでバランスを取り転倒を回避します。

火山灰の砂や砂利が大量に靴の中に侵入するため、一度止まって靴を開けると、大量に砂が出てきました。シューズが一気に軽くなります。ゲイターを付けていてもこれだけ砂が侵入するので、ゲイターがなかったらもっと大変だったはずです。


山頂から2700mのセンバルンリムまでは上ってきたコースと同じルートをピストンします。

コースは結構広さがあるので、私が下るころには多くの選手が昇ってきていましたが、あまり問題はなかったように感じます。登りで苦しめられた砂礫は、下りでは最高のクッションとなり、富士山の砂走を駆け降りるように、まるでオフピストスキーを楽しむように滑りながらザクザクと下ることでき、3726mからの超絶景ダウンヒルはまさに世界でここだけの贅沢なダウンヒルを楽しむことができます。

センバルンリムにはたくさんのグレーモンキーがやってきます。 沢山のかわいい子ザルもいて、みんなで残飯などを狙っていますが、そこまでアグレッシブではありません。

3726mからの絶景砂走ダウンヒル


下りは中腹までかなりテクニカルで急な下りが続きますが、半分を過ぎると緩やかになり気持ちよく走れるセクションが続きます。しかし標高が下がるとどんどん気温も上がり、途中でアンダーウェアなどはすべて脱ぎ、タンクトップのみに着替えます。


【ビーサンで2700mまで30㎏の荷物を運ぶポーター】

下りきるあたりでは、大勢のポーターとすれ違います。大会のエイドのために水などを竹のかごに入れて担いで歩荷して運搬しているのです。

皆ビーチサンダルで重さ約30㎏の竹製のかごに大量に物資を積んで上ってゆきます。

このレースを走らせてもらえる感謝を改めて感じます。


下りもペースをコントロールしながら、最小限の消耗で下ることができました。

下りきった場所の補給所はすでにかなり暑く、水を浴びて、塩分補給のためカップラーメンを少し食べます。


補給所を過ぎると、次の登りへ突入です。宿泊していたホテルのすぐ裏にそびえる山で、山頂は約1800mと低いですが、強烈な稜線の直登です。普段はほとんどハイカーも入らない山のようで、半分やぶ漕ぎのような細くて急峻な登りが続きます。まだまだ半分も来ていないので、極力消耗しないようにペースをコントロールして、進みます。


足の消耗を抑えるために、シナノの13.6ポールをめいいっぱい使い、腕の力を使って足を温存します。



リンジャニよりも厳しい崖のような下り

2つ目の山の山頂を過ぎると、素晴らしい絶景とともに、とんでもなく急な下りが現れます。

今まで日本の大会、いや海外の大会でもこれほどまでに急な下りは見たことがありません。


これだけ急な下りだと、足の筋力は確実にダメージを受けていき、後半厳しくなることは明白です。ポールがしなるほどに必死に下り斜面に突き立てて、ブレーキを駆けつつ崖のような下りを下ります。何度も滑って転倒しそうになりますが、その度にポールに救われます。


やっとの思いで、激烈な下りを下りきると、しばし田園の中の林道を進み、50㎞地点のドロップバックエイドに到着します。

ここのエイドで、「4位も日本人の渡部選手だよ」と教えられます。

TJARでも活躍する渡部祥選手が4位を進んでいるようです。「自分も頑張ろう!」と勇気づけられます。

中盤を4位で進んだ日本の渡部祥選手
【中間ドロップバックエイド】

エイドに到着するとイタリア人の先行していた選手がエイドにストップしています。どうも体調を崩しているようです。

気温が上がると脱水や食欲不振でハンガーノックになり体調を崩す選手が増えます。 ここのエイドは林道の道端に、キャンプテーブルを並べただけの私設エイドのような、簡易エイドでした。
「あれ?おかしいな、ここドロップバックエイドのはずでは?」
今まで私が走ったレースは、ドロップバックエイドは大抵大きな体育館などで、ドロップバックがずらりと並ぶエリアと、大きな補給エリアが設置されていることがほとんどでした。
こんな道端の小さなエイドはドロップバックエイドではないと、勝手に思い込んでいました。 しかし、道端の陰からスタッフがバックをどこからともなく持ってきてくれて、やはりここがドロップバックエイドなのだとわかります。

実は熱い晴天よりも雨天や寒い日のほうがウルトラトレイルの完走率は上がります。なので、快晴の今日は景色は最高ですが、コンディションとしては実は厳しいコンディションです。

ここにはあらかじめスタートで預けた、ドロップバックを受け取ることができ、自分の用意した食料や着替え、スペアシューズなどを交換できます。

ここでいかにしっかり後半に向けて体制を整えられるかが、非常に重要と考え、焦らずしっかり補給し、足のケア、後半に向けた補給の装備を心掛けます。

まずエイドのスタッフにカップラーメンの準備をお願いし、持参した「カレーメシ」にもお湯を入れてもらいます。カップラーメンとカレーメシができるまでの間、ソックスを履き替えます。もうリンジャニの火山灰と途中の川渡でシューズもソックスもドロドロです。足も火山灰で真っ黒。このままで走り続けると火山灰の砂がすれて足の皮がベロっとはがれてしまうため、できる限り落とし、水で洗い、大量にワセリンを塗りたくります。どんなに筋力が元気でも致命的な足の豆や水ぶくれができてしまうと、痛みで大幅にペースダウン、体のバランスも崩れひざ痛などを併発してリタイヤに追い込まれるリスクがあります。 なので足裏などのケアは多少時間がかかっても、ここでしっかり行います。
ワセリンを大量に塗り、新しいソックスに履き替え、カレーメシとカップラーメンを食べます。
この時は食欲も正常で、後半上げていけるのではないかと考えていました
唯一気がかりは、日焼け止めを塗っていたものの、大量の汗などで流れてしまったか、それ以上に日差しが厳しく、全身が激しく日焼けしてきておりヒリヒリしています。

日焼けも体力を消耗するため、本当はなるべく防がなくてはなりませんが、反面熱さのためになるべく薄着でいたいという思いもあり、なかなか難しい判断です。

さあ、いよいよ後半戦、ウルトラトレイルの本当の勝負がこれから始まります。
・・・つづく










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