フランス版のお遍路さんを目指してコンクの村へ


日本の巡礼が四国88か所なら、ヨーロッパでは、キリスト教の聖地の一つ、スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラを目指す巡礼があります。その聖地をを訪れる巡礼の道がフランスからは4本伸びていて、ピレネーを越えると道は一つになります。フランス版のお遍路さんを目指して、ミディ・ピレネー圏のコンクにいざ出発です!



コンクの村は「フランスのもっとも美しい村」にも選ばれています。中世以来の街並みが山の中腹で身を寄せ合っているような静かな佇まいで、訪れる者を魅了します。集落の家々の屋根はうろこのようなスレート葺きが特徴的。石畳の道と時が止まったような村、俗世の煩わしいことから離れて心静かに過ごすのにとても心地よい場所です。



このサントフォワ聖堂が建てられた11世紀頃は、3000人程が暮らしていましたが、今は90人程が暮らす小さな村です。このサントフォワ聖堂に納められた聖女フォワの黄金像(聖遺物)に祈りを捧げるために世界各地から巡礼者が訪れます。聖女フォワは、4世紀初頭に異教の祭儀に参加することを拒み捕らえられ、斬首されたといいます。その後この聖遺物に祈りを捧げると、盲人や囚人に奇跡が起きたとか。



聖堂の入り口のタンパン(刻まれたレリーフ)の主題は「最後の審判」です。中央にいるのがキリスト、向かって左半分が天国、右半分は地獄の光景を表しています。確かに左側が整然と並んでいるのに対して、右側の人々がなんと混乱していること!このレリーフは右側半分に特に注目…拡大するとこんな感じです。



獣に頭をかじられる、げんこつ、舌を抜かれる、こん棒でぶたれそう?…こんな拷問が待ってるなら良い人になろう!と決意を新たにします。地獄に落ちるよ!という言葉よりもずっと効き目がありそうです。

ちなみにキリストの足元では天使と悪魔がにらみ合っていて、人の心の葛藤でしょうか。人間は大昔から変わっていないのだなあ…としみじみ感じてしまいます。自分の今までの善と悪を想って静かに瞑想したら、聖女フォワから癒しのお告げがあるかもしれません。



作家のメリメがこの地を訪れた時に、「これ程人里離れた場所にこれ程多くの貴重な品々があるとは!」と感嘆したそうです。スペインの聖地まで黙々と歩き続けなくても、コンクへの訪問でご利益があるかもしれません。四国のお遍路さんも現代では車移動もかなり多くなっているようです!あまり気負わずに出掛けてみてはいかがでしょう。

ちなみに現在、コンクのサントフォワ聖堂では、聖堂の104のステンドグラスを制作したピエール・スーラージュに焦点を当てたガイドツアー(英語・仏語)を行っています(2019/10/31まで)。窓の採光や彼のデザインの独創性などを知る貴重なチャンスです。

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