せっかくスペインに旅するのなら現地のワインを堪能しましょう!
ワインとひとくちに言っても赤・白、ブドウの種類、地域別の特色、ビンテージなど、広がり過ぎて書ききれそうにないので、ここではスペインのシャンパン、カヴァについて書いてみたいと思います。
夏にスペインを旅するのであれば、のどごしがいいカヴァはマストオーダーアイテムでしょう。

カヴァは、フランスのシャンパンと同じ製法で造られる、スペイン産のスパークリングワインです。シャンパンと名乗れないのは、シャンパーニュ地方で生産していないからですが、同じ手間ひまをかけてつくられています。
その代わり、カヴァと名乗れるのはカタルーニャ地方で生産される規定をクリアしたスパークリングワインだけです。
使用が認められているブドウ品種は、赤・白合わせて9種類ありますが、主要な品種はチャレッロ、マカベオ、パレリャーダの3種です。これらはフランスのシャンパンに使われているシャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエなどと比べると酸味が穏やかなので、ワインの仕上がりも穏やかになると言われています。
味わいは穏やかでも、キリリと辛口なのがカヴァです。それは、カタルーニャ地方はシャンパーニュ地方よりも緯度が低く温暖なためブドウの糖度が上がり、シャンパンには必要な糖分の添加をしないで済むからです。

カタルーニャ州の州都はバルセロナです。バルセロナ近郊のペネデス地区に「カヴァの故郷」と呼ばれるサン・サドゥルニ・ダノイアという村があり、そこにはフレシネとコドーニュ(コドルニウ)というスペインワインの2大生産者が本拠を構えています。カヴァの生産量のおよそ95%はそこで生産されています。
ワイナリーツアーとして、この村を訪れて両社のワイナリーを見学することもできます。ツアー客ばかりでなく、個人で行っても見学できるので、ワイン好きだったらぜひ、足をのばしてみたいですね。
行き方は、バルセロナから列車で最寄りの駅に行き(約40分)駅からはタクシーまたはシャトルバスで5分です。見学ツアーの所要時間は約1時間半で、日に数回、英語でのツアーも行っています。シャトルバスの本数が非常に少ないことと見学ツアーは要予約なので、事前の確認は怠らないほうが身のためのようです。
夏の暑い時期に、さわやかにノドを潤してくれるカヴァ。誰が最初につくったのでしょうか。
1872年にフランスのシャンパーニュ地方でスパークリングワインの造り方を学んできた、コドーニュ一族のホセ・ラベントス氏が、シャンパンと同じ伝統的製法でカヴァを造ったのが始まりだといわれています。
1880年にヨーロッパの赤ワインの品種のブドウは、フィロキセラという病気で壊滅状態においやられます。そこでスペインでも赤ワインから白ワインの品種への植え替えが盛んになり、それがカヴァの生産量を増やすこととなりました。「カヴァ」と名乗れる基準が出来始めたのは1959年で、1970年にシャンパンと同じ伝統的製法であることが条件に加わりました。その後、1986年にスペインがEUに加盟すると、原料となるブドウの地理的な制限(原産地呼称)が求められて現在のような形となりました。
スペイン旅行から戻ってからも、カヴァをひとくち飲めば、香りが旅行の楽しい思い出を連れてきてくれるでしょう。