イベリコ豚はどんな豚?


 イベリコ豚と聞いて、まず思い浮かぶのがハモン(生ハム)です。
とてもおいしいイベリコ豚。生前(?)のイベリコ豚とは、どのようなものなのか少し調べてみようと思い立ちました。今回は、個人的に疑問に思っていたことを検証式に書いていきます。



1.イベリコ豚の産地は?
起源は地中海地方で、現在ではイベリア半島の中央部からスペイン南西部で多く飼育されています。黒い脚と爪をもつ個体が多いことから、スペイン語では「黒い脚(pata negra)」と表現されることがあります。

2.品種は?
品種は、イベリア種100%の純血、もしくはイベリア種とデュロック種を交配させた豚(イベリア種50%以上)のうち、スペイン政府が認証したものをイベリコ豚と呼んでいいそうです。デュロック種というのはアメリカが起源の赤毛で垂れた耳が特徴の食用豚で、筋肉内脂肪量が多く料理にコクと風味を加えます。

イベリコ豚メス血統100%の場合肉質は少し硬めで、オス血統100%又は、75%(この場合の25%はデュロック種)オスの肉質はメスに比べてやわらかいのが特徴です。純血に近づくほどに脂は肉に混ざるので、霜降り(いわゆるサシ)は少なくなっていきます。



3.等級はあるの?
最近はスーパーの食肉売場でも買えるようになったイベリコ豚ですが、和牛のように等級によってランクづけされているのでしょうか。
どんぐりを餌にすると聞いたことがありますが、餌がどんぐりなのは最高級のベジョーダ(どんぐりのスペイン語)のみだそうです。このベジョーダには、いろいろな決まりがあります。

まず、飼育は毎年10月から12月15日の間に
デエサ(どんぐりの森)でモンタネーラ(放牧)して、どんぐり、草、その他の自然の産物のみを食べます。デエサの広さは110キロ以上の豚に対して100平方メートル以上の面積を確保するという条件があります。
他の補完飼料を与えられることなく12月16日から3月末までの間に食用にされるベジョーダの生産量は、スペイン国内でもイベリコ豚の数パーセントという希少な肉です。



ベジョーダの下にはどんぐりは食べないけれど放牧するセボ・デ・カンポがあり、その下にはセボがあります。セボは放牧されず、どんぐりも食べません。基本的には狭い豚舎で穀物の飼料を食べて育ちます。血統は50%のものが多く、飼育期間も短いため流通している安価なイベリコ豚の多くは、このセボであると言えるでしょう。

餌のどんぐりですが、「ブナ科の木の実」であればなんでもよいわけでもないらしく、コルク栓になるコルク樫の木の実がいいそうです。そして、世界のコルクの生産の6割はスペインで生産されているようにスペインにはコルク樫の木が生えています。

4.スペイン vs. イタリア 生ハム対決
最後に生ハムといえばスペインのハモンとイタリアのプロシュートが有名かと思いますが、それぞれを簡単に比べてみようと思います。


イタリアの生ハム(正確にはプロシュート・クルード)はパルマ産のものがよく知られています。パルマの冷涼で昼夜の寒暖差がある気候は、生ハムつくりに最適だからです。使われるのは白豚で、長期間乾燥させて熟成させるので余分な水分と油分が抜けて芳香でまろやかな生ハムに仕上がります。
スペインの生ハムと違うのは、イタリアでは皮付きのままの状態で塩漬けして熟成させるので塩分が低く、わずかな甘みを感じる点です。
スペインの生ハムはハモン・セラーノが知られています。山岳地帯でつくられるため「山の生ハム」と言われていますこちらも使われるのは白豚ですが、イタリアと違い皮を剥いで脂の状態で塩漬けにして熟成させるので、塩分が強いのが特徴です。ハモン・イベリコは手間ひまかけて育てたイベリコをさらに長い期間かけて熟成させてから出荷するので高級食材になっています。

スペインでは「コルタドール・デ・ハモーネス(生ハム切り師)」という仕事があるといいます。イベリコ豚への愛着を感じる仕事ですね。








ヨーロッパ周遊旅行の専門店 ユーロエクスプレス
ユーロエクスプレス

  • 生ハム
  • ハモン
  • プロシュート
  • イベリコ豚
  • ベジョーダ
  • どんぐり
  • コルク