”ポルトガル”が産まれた地


ポルトガル北西部にあるギマランイス(Guimarães)は、第二の都市ポルトから列車で1時間程のところにあります。この地はポルトガル初代国王のアフォンソ1世が生まれた地として知られ、旧市街の広場の壁には「AQUI NASCEU PORTUGAL(ポルトガルここに誕生す)」と大きく書かれています。


ギマランイスはアフォンソ1世が生まれた12世紀初頭から現存している著名な建造物が建てられ、ポルトガルの中でも重要な都市となっていきました。現在旧市街に残るそれら歴史的価値の高い建築は”ギマランイスの歴史地区”としてユネスコ世界遺産として登録されています。


現在のギマランイスは工業で成り立つ街と変貌しており、中世から残る文化財と現代の建物とが混ざりあって風情ある街並みを作り出しています。


今回はそんな情緒漂うギマランイスについてです!


◆旧市街の世界遺産◆

ギマランイス歴史地区で登録されている中でも有名なものをご紹介します。


・ギマランイス城

1109年、後にポルトガルの初代国王となるアフォンソ1世はこのギマランイス城で生まれました。彼はそれまでこの地を支配していた勢力を追い出し、イスラーム勢力を打ち負かしたことでポルトガル王を自称します。その後もリスボンを支配していたイスラーム教徒を打ち負かしてどんどんポルトガルの版図を広めていきました。こうして彼が初代となったブルゴーニュ王朝は14世紀末まで続きました。

そんな彼をが産まれた、石造りで頑丈そうな城は、元々修道院だった場所にムーア人やヴァイキングの攻撃から街を守るために建てられました。ロマネスク様式の城壁と高さ28mの中央の塔を含む7つの塔が現存していて、塔からは街全体を見渡すことができます。現在でも城の麓にあるサン・ミゲル教会は、アフォンソ1世が洗礼を受けた場所でもあります。



・ブラガンサ公爵館

中心部にあるブラガンサ公爵館は、ポルトガルが栄華を極めていた大航海時代の君主・ジョアン1世の息子ドン・アフォンソが建てた館です。フランスの影響を強く受けたゴシック様式で、現在では政府公館と貴族の歴史を展示した博物館として使われています。館の天井から突き出している30本以上の煙突が印象的で、重厚な石造りの建物と中庭を囲む美しい回廊、豪奢な家具やタペストリーなど繁栄を極めていたポルトガルを垣間見れます。


・ノッサ・セニョーラ・ダ・オリヴェイラ教会

この教会は12世紀に建てられましたが、何度か拡張工事が行われたためロマネスク様式とゴシック様式が混じった建築となっています。内部は12世紀当初のものですが、外装は14、15世紀に拡張されています。教会はポルトガル語で「オリーブの木の聖母教会」という意味で、レコンキスタの戦勝記念として1342年に教会前にアーチが作られ、完成したと同時にオリーブの芽が芽吹いたことが由来だということです。


・アルベルト・サンパイオ美術館

ノッサ・セニョーラ・ダ・オリヴェイラ教会の修道院部分を改装したものが、アルベルト・サンパイオ美術館です。装飾が施された14世紀の美しい回廊の周りに展示室となっています。収蔵されているのはギマラインスの教会や修道院が保有していた絵画をはじめ、彫刻や陶磁器類、典礼品などまざま。中でもジョアン1世が戦いでまとっていた外衣は必見です。



・ポサーダ・デ・サンタ・マリーニャ

サンタ・マリーニャ・ダ・コスタを利用したポサーダです。ポサーダとは、修道院や城、貴族の館を改装したホテルチェーンで、歴史的な建築物に泊まるという貴重な体験ができます。隣国スペインにも同様の国営ホテル・パラドールがあります。


ギマランイスは城を中心に街が形成されている言わば城下町。旧市街中心部はコンパクトですが見どころ沢山です。市街に繰り出してみるとポルトガル名物のアズレージョにいたるところで遭遇することでしょう。


もしポルトガルの歴史に興味があるならば、初代国王の生まれた地としてギマランイスは訪れるべき場所でしょう!



■アクセス■

ポルトのサン・ベント駅から電車で約1時間。ポルトからギマランイスに向かう電車は1時間に1本程の頻度です。









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