1996年にはポルト歴史地区が世界遺産にも登録されている歴史ある街でもあります。
そんな世界遺産にも登録されている地区の中に、とても美しい本屋さんがあるのをご存知でしょうか?
(ポルトの風光明媚な街並み)
歴史地区の一角にある”レロ書店(レロ・イ・イルマオン, Livraria Lello & Irmão)”は1869年創業の書店で、現在営業している店舗は1906年に建てられたもの。店名の「レロ・イ・イルマオン」は「レロ兄弟書店」という意味ですが、現在は単に”レロ書店”と呼ばれています。
(昼間には行列が絶えない)
イギリスのガーディアン紙が選ぶ「世界の素敵な書店10選」のうちひとつに選ばれ、さらに日本でも一大ブームとなったハリー・ポッターシリーズの著者J・K・ローリングが語学の教師としてポルトで教鞭を執っていた頃(1991~93年)によくこの書店に通ったことから、この書店の雰囲気がハリー・ポッターの世界観に影響を与えたのではないかと噂され、ハリー・ポッターブームと共に一気に観光客が訪れるようになりました。
女史はシリーズ一作目の『ハリー・ポッターと賢者の石』の第三章まではポルト在住中に執筆しており、ホグワーツ城などは故郷エジンバラをモチーフにしているものの、初期のイメージの随所にはポルトらしき場所も登場します。作中の魔法に関する書籍を取り扱うフローリッシュアンドブロッツ書店も少しこのレロ書店に似ているかもしれません。
しかしハリー・ポッターシリーズが世界中で大ブームとなったため、多くの観光客が豪奢な内装の写真を撮るためだけに大挙した結果、本来の書店としての活動に支障をきたし、現在では入店料(5ユーロ)が掛かります。
ただしチケットは店内で本を購入する際のバウチャーになるため、本を買えば元を取れます。このチケットは書店内部で販売はされておらず、書店に近いArmazéns do Casteloというお土産屋か、前もって公式サイトからオンラインで購入することも可能です。
(精巧な天井)
店内に入ると、書棚に両側を囲まれた『天国への階段』とも呼ばれるユニークな形状の赤い階段が目に入ります。ちょうどネオゴシックからアールヌーボーへの変革期に建てられたため、装飾品や手すり、柱や天井などじっくりと見てみるといくつかの建築様式が混ざりあった面白い建築になっています。
この建物はポルトガル出身の技師グザヴィエ・エステーヴが手がけ、1階の天井や階段の見事な装飾は漆喰で細かく彫られています。さらに2階へと足を進めると、天井に見事なステンドグラスが現れます。ステンドグラスの長さは8m、幅も3.5mの大きさを誇り、中心にはレロ書店のロゴが入っています。左の大きなLは”レロ兄弟”の頭文字で、その隣にラテン語で書かれた「Decus in Labore(労働者の栄光)」は、この書店を訪れる人全てに対しての黄金のルール(何事も人にそうして欲しいことは自分もそうすること)を示しているのだそうです。
(細部までこだわりぬかれている)
書棚の柱には、レロ兄弟やポルトガルを代表する小説家カミロ・カステロ・ブランコ、小説家のエッサ・デ・ケイロスら8人の彫刻が施されているので、ぜひチェックしてみてください。また、J・K・ローリングは現在のように入店料を取るようになる以前に2階にあった小さなカフェスペースを好んで滞在していたようです。
もしポルトガルに訪れる予定がある方は、ぜひ一度足を運んでみてくださいね!
■レロ書店(Livraria Lello & Irmão)
営業日:09:30~20:00
住所: Rua das Carmelitas, 144, Porto, 4050161, Portugal
入店料金:5ユーロ
公式サイト(英語):https://www.livrarialello.pt/en-us/
※写真を撮影する際に、自撮り棒や三脚の使用は不可。他のお客様に対しての十分な配慮をお願いします。また、本などの商品の取り扱いにも注意をして下さい。
※入口の右手には見学者用のロッカーがあります。店内は狭いので、大きな荷物などある際には利用しましょう。