本当に製塩所?と思う程に美しい世界遺産


 フランスの世界遺産に行こう!と思った時に、お城や聖堂でない場所も訪ねたいなー、という方にお勧めの場所です。ここは、フランス東部ブザンソンに近い場所に位置する、アル=ケ=スナン王立製塩所とサラン=レ=バン大製塩所です。美しい建物も当時を支えた産業遺産も両方見たい!という好奇心を十分満足させてくれる世界遺産です。


アル=ケ=スナンの王立製塩所

フランスでお塩というと、まずブルターニュのゲランドの海塩が思い浮かびますね。でもこのフランシュコンテ地方こそ、フランスの製塩業をずっと支えてきた場所です。15世紀から17世紀の当時、生きていくために必要なお塩、製塩業は食品の加工などでも重要な産業でした。また、塩に「ガベル」という税金をかけていたため、国の大切な収入にもなっていたのです。

先に機能していたサラン=レ=バン大製塩所で塩水を煮詰めるために必要な木材(薪)が不足したことにより、新たにルイ16世のもとで建設されたのがこのアル=ケ=スナン王立製塩所です。ここには、木材を調達できる森がより近くにありました。

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アル=ケ=スナン王立製塩所公式HPより写真抜粋https://www.salineroyale.com/la-phototheque-de-la-salina-royale/

王の命令を受けたのがクロード・ニコラ・ルドゥーという建築家。彼は、製塩所の建設に当たり、従業員が住める寮や事務所、裁判所、銀行などをこの敷地内に配置しました。都市計画をぎゅっと集め、形にしたのです。当初は、円形の敷地が理想でしたが、資金難のために半円形となりました。宮殿のような見事な佇まい、とてもお塩の工場には見えませんね!

1895年に創業停止になったあとは、現在はルドゥーの博物館や旧製塩工場の資料館として創業当時の技術や様子を伝えています。


サラン=レ=バンの大製塩所

こちらは、アル=ケ=スナン王立製塩所よりも歴史が古い、サラン=レ=バン大製塩所です。建物は古いですが、塩井戸水を保持するために建設された巨大地下トンネルが今も残されています。塩水を煮詰めていた大型の金属製の窯や煙を吐き出していた高い煙突などが当時のまま保存されていて、当時の活気のあった仕事の様子をより身近に感じられる遺産です。

当時「白い黄金」と呼ばれていた塩を生み出し、フランシュコンテ地方の収益の半分を生み出す程に栄えていました。1962年に既に操業停止になっていますが、世界遺産に登録された2009年以降、観光客で大変賑わい、当時の様子をリアルに伝える場所になっています。


アル=ケ=スナンの王立製塩所入口の石積の門

アル=ケ=スナン王立製塩所が1982年に世界遺産に登録された後、2009年にサラン=レ=バン大製塩所が拡大登録されています。お城のような王立製塩所だけでなく、古くから地域を支えていた製塩所の価値が見直されたこと、「良かった!」と地元も安堵したに違いありません!

王立製塩所は、当時従業員用の野菜を育てる「生産的な原っぱ」がありました。その場所を園芸学校の生徒が再生させた花と緑あふれるお庭もあって、毎年春の終わりにはガーデンフェスティバルが開かれています。



優雅な歴史遺産ももちろん、その国の営みや情緒を味わえて素晴らしいですが、働く人の汗を感じるような場所もまた、新たな発見がありそうです。ブルゴーニュワインの産地も近く、フランス人の心と胃袋をつかめる土地と言われています。是非次回のフランス旅行の候補地にいかがでしょうか。

☆ブルゴーニュ・フランシュコンテ地方を訪れるツアー・・・こちらに世界遺産の王立製塩所を組み込むこともできますのでお気軽にお問合せください。

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