スイスの世界自然遺産とマッターホルンの由来


写真@ヘルンリ小屋公式HPから

今日は、最近テレビで知って驚いたことを書きたいと思います。

先日、TBSのTV番組・世界遺産「スイスのサルドーナ地殻変動地帯」を見ました。内容は、スイス東部グラールス州のチンゲル山に横に一本マジックラインと呼ばれる線があり、遠くからでも良く見えること。この線は、地域の山々30キロにもつながっていて、線を挟んだ上下の岩の年代を調べると、上の岩は2億5千万年前から3億年前のもの。下の岩は4千万年前に出来たもの。なんと上の岩が下の岩の年代より古いのです!1840年にこの事実を発見したアルピニストで地質学者のエッシャー(後にチューリッヒ工科大学の地質学初代教授)は、当時理由は分かりませんでした。しかし、その後1912年にドイツの気象学者ウェグナーが、大陸が移動するというプレートテクトニクス理論を発表したことから、アフリカ由来の太古の岩がヨーロッパ由来の岩と衝突し、乗り上げて、上下逆転の年代の岩盤が出来たことが分かりました。2つのプレートの激突、アフリカ由来のプレートの衝上、その後の隆起、そして氷河による浸食でヨーロッパアルプスが誕生したそうです。実際はもっと複雑ですが、簡単に言うとこうなります。地質学に大きな進歩をもたらし、地球の進化を解き明かす鍵となる場所として、2008年に世界自然遺産に登録されたというお話でした。世界遺産スイス・テクトニックアリーナ・サルドーナ
(スイス政府観光局サイトへリンク)


びっくりしました。知りませんでした。アフリカ由来の大陸がヨーロッパの大陸の上に乗り上げて今も見られるとは!あまりにも面白かったので、スイスの名峰の地質を調べてみました。マッターホルン(4478m)は、標高3400mまで海の堆積物から出来た岩、それより上がアフリカ由来の古生代の花崗岩と片麻岩。マッターホルン登頂にアルピニストが宿泊するヘルンリ小屋は3260mなので、大体小屋から山頂まではアフリカ由来なのですね。次にアイガーを調べましたら、こちらは中生代ジュラ紀・白亜紀(1億5千万年程前)の石灰岩なので、アフリカ由来ではなさそうです。ヨーロッパ最高峰のモンブラン(標高4807m)は花崗岩(アフリカ由来か分かりませんでした)で、周囲の針のような峰々は古生代(アフリカ由来)の片麻岩のようです。


スイスアルプスは、古代のティティス海につながる海が隆起して出来てもいるので、魚類の化石が見つかるそうです。スイスのもう1つの自然遺産、ルガーノ近郊のサン・ジョルジオ山は、かつてはサンゴ礁の豊かな海で1万点以上の脊椎動物、魚類や海生爬虫類の化石が見つかっています。
また、海の堆積物が固まった石は、板状に剥がれ易いので、家の建材として屋根や高床式の穀物倉庫のねずみ返しにも使われています。ツェルマットで石葺屋根もねずみ返しの倉庫も見られますよ。


スイスにご旅行に行かれる皆様、アルプスでは岩に触れて、地球の歴史を感じてみて下さいね。


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