前回はドイツの食に欠かせない、ビールやパンのお話を致しました。
よくよく考えてみれば、まだ全然ドイツの「食」にたどり着けてませんでしたね(笑)
今回はスープからメインディッシュへ、そしてデザートに関してお話を続けさせて頂きます。
【スープ】
さて、メインディッシュに移る前に、まずはドイツらしいスープのご紹介です。
代表的なものだと以下のようなものがあります。
・アイントプフ(Eintopf)
(輪切りにしたソーセージ、ジャガイモ、にんじん、玉ねぎ、レンズ豆などを煮込んだスープ)
・マウルタッシェ(Maultasche)
(ドイツ風ラビオリ/餃子を入れたスープ)
・グラーシュ(Gulasch)
(パプリカで少し辛みを加えたスープ。ハンガリー発祥)
1番目のアイントプフに関して言えば、非常に庶民的なスープで、街中にあるインビススタンド(軽食屋)で売られていたりします。小腹を満たすにはリーズナブルなもってこいのスープです。
マウルタッシェは以下メインディッシュの項目で詳しく説明いたしますが、ドイツ南部でよく食べられるものです。パスタ生地で肉の餡をくるんだドイツ風の餃子と思って結構です。スープに入れるのは少し小さめのもの。
最後のグラーシュに関しては、もともとハンガリーが発祥のスープです。でも、いろんな場面で登場する牛肉の入った辛みのあるスープです。色んな料理に合うということで、実は中欧を中心に広く愛されているものなのです。
【メインディッシュといきますか…】
さて、お待たせいたしました、ドイツ料理のメインディッシュに関してお話しましょう。ドイツは若干、海に面しており、また淡水魚も生息していることから魚の料理もありますが、中心となるのは肉料理がほとんどです。
使われる食材は牛肉、豚肉、鶏肉がメイン。そう考えると、日本人の舌には合いやすい料理ばかりかもしれません。代表的なものは以下の通り。
(肉料理)
・シュニッツェル(Schnitzel)
(ドイツ風カツレツ/とんかつ)
・シュヴァイネハクセ(Schweinehaxe)
・アイスバイン(Eisbein)
・ザウアーブラーテン(Sauerbraten)
(パスタ系)
・マウルタッシェ(Maultasche)
(付け合わせ)
・ザウアークラウト(Sauerkraut)
・ブラート・カルトッフェルン(Bratkartoffeln)
シュニッツェルはドイツ全土、ならびにオーストリアで愛されているもの。日本のとんかつと違うのは油で揚げるのではなく、平たくのばしてバターやラードでフライパンで焼くというところ。オーストリアで超巨大なシュニッツェルを戴きました♪
でも、よくよく考えてみると、伸びているだけだから量自体は大したものではありません。ナイフとフォークでいただきますが、パンに挟んで食べる場合もあります。
見た目のインパクトが凄いシュヴァイネハクセとアイスバイン。共に豚の足を使った料理ですが、アイスバインは一度煮込み、その後そのまま頂くか、ローストして食べるベルリンの名物。一方、シュヴァイネハクセの方はオーブンで外側がカリカリになるまで焼き上げて食べる南ドイツの名物です。ビールの祭典、オクトーバーフェストに行くとこのシュヴァイネハクセをよく見かけます。
ザウアーブラーテンというのは一度マリネした肉を蒸し焼きにし、ソースをかけて食べるドイツのメインディッシュを代表する料理です。マリネするのは肉を柔らかくするのと、臭みを取るという目的があります。調理方法にもよりますが、酸味が残ることは少なく、美味しい肉料理に仕上がります。ドイツ国内であれば大抵のレストランで見かけることができますね。
魚料理は日本とは異なり、ムニエルやフライにして食べることがほとんどです。北ドイツに行くと、フライなどをパンに挟んだものもよく見かけます。ただ、魚に関して言えば、圧倒的に味といい、鮮度といい、バリエーションといい日本に勝ることは残念ながらありません…
パスタ系で最も有名なのは先のスープの項目でもお話したマウルタッシェがあります。この料理の起源は世界遺産にも登録されているマウルブロン修道院にあります。修道院はご存知の通り、とても厳しい戒律のもとに生活が行われていますが、修道士も一人の人間です。お肉が食べたくなることもあります。そんな時、とある修道士があるアイデアを思いつきました。お肉であることがばれなければいい、お肉を生地で包んでしまえ!として生まれたものがマウルタッシェとされています。生地の中にミンチや様々な香草を加えて茹でたり、焼いたりして食べるのが主流。サイズはドイツ流でかなりでかいです(大きいもので10㎝×15㎝)。しかも、ご丁寧に複数個ある場合も...
メインディッシュの付け合わせによく登場するのがご存知な方々も多い、酢漬けのキャベツザウアークラウト。そして日本では「ジャーマンポテト」として知られていますね、ジャガイモをベーコンやタマネギなどで炒めたブラート・カルトッフェルンなどがあります。
ドイツのメインディッシュは結構一人前のボリュームが多いので、お気を付けください。ちなみに残しても失礼には当たりませんのでご安心を!
【デザートで締め!】
さて、食事の締めのデザートですが、ケーキから参りましょう。
ドイツでは大きく分けて二つのケーキの名称があります。恐らくご存知な方もいらっしゃると思いますが、「クーヘン」と「トルテ」です。
クーヘンは焼きがメインとなるもので、代表的なもので言えばバウムクーヘン(Baumkuchen)、アプフェルクーヘン(Apfelkuchen,アップルパイ)など。
対してトルテというのはデコレーションに特化したもので、日本で言うところのショートケーキなどに近く、丸い形が原形で、三角に切り分けたものにあたります。一番良く知られているものはザッハートルテ(Sachertorte)でしょう。
他にもシュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ(Schwarzwälder Kirschtorte)とか、
フランクフルタークランツ(Frankfurter Kranz)といったものもあります。
手軽なもので言えば、クラップフェン(ベルリーナ―とも呼ばれます)と呼ばれるジャム入りの揚げパンやクリスマス時期によく目にするレープクーヘン(Lebkuchen, ジンジャーブレッド)や、最近では日本でも知名度が上がってきたシュトーレン(Stollen)もドイツの食べ物。
このようによくよく考えてみれば、何かと日本の食卓でもおなじみなものが存在しますね。ただ、残念ながらメインディッシュに関して言えば、まだまだ知名度も低いのが現状ですね。
ただ、シュヴァイネハクセなどを実際調理しようとすると、まず原材料に困るでしょうし、調理の仕方も日本の設備では難しいかもしれません。
ドイツを知るものからしてみれば、それでも一度は味わって頂きたいドイツ料理。日本国内には取扱いの絶対数が少ないため、是非とも本場ドイツでご賞味いただきたい、そう思います♪