四方を海に囲まれた日本にとって、「国境」という概念はあまり身近なものではありませんよね。
強いて言えば、「国境の長いトンネルを抜けると…」という文学的なものにとどまるだけでしょうか...しかもそれはあくまで群馬県と新潟県の間の話…
(↑実際今年の4月群馬から新潟へ抜けると雪国でした)
一方でヨーロッパは比較的狭い国土の中に多くの国がひしめき合い、中央部に位置するドイツを例に挙げれば、なんと九つの国と「国境」を形成しています(デンマーク、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、フランス、スイス、オーストリア、チェコ、ポーランド)。
昔は検問などあり、これらの「国境」を越えるということは非常に大変な事でした。今となってはEUの存在、シェンゲン条約の締結のおかげで自由に他の国へ行けることになったのは旅行をするものにとって非常に有難いことです(2017年現在、検問のある場所もありますが)。
さて、どれぐらい自由かというと…歩いていると気が付いたら別の国というほど(笑)
ちょっとマイナーな場所ですが、幾つかご案内致しましょう。
ドイツ南部、スイスとの国境沿いのホーホライン(Hochrhein)地域は、ボーデン湖から西へライン川が流れる風光明媚な場所。ここはほとんどがライン川を境に北側がドイツ、南側がスイスに属しています。
その中にラウフェンブルク(Laufenburg)という小さな町があります。ここ↓
拡大してみると、一本の細い線がありますね、これ国境にかかる橋。
ラウフェンブルクは美しいライン川(まだ上流のため、川の水がキレイ)沿いにカラフルな建物が立ち並ぶ、絵になる風景がある町。
橋の上に立ち、北側を眺めるとこのようになり(ドイツ側)…
南側を眺めるとこのようになります(スイス側)。
橋の真ん中には像が立つ、以上!
とてもここが国境のど真ん中とは思えませんよね。
このラウフェンブルクからもう少し下流(西)に向かうと、バート・ゼッキンゲン(Bad Säckingen)というまた違う町がありますが、こちらにはドイツ側とスイス側に屋根付きの木造の橋がかかっています。
この橋は実は屋根付きのものとしてはヨーロッパで最も長いもの(203.7m)なんですって!屋根付き木造橋が有名なスイスのルツェルンにあるものより若干長いそうです。
国境が国境たる所以のものは…
「ここからドイツ」のようなものでしか判断できません。当然のことながら検問所のようなものもありません。行くのも自由、戻ってくるのも自由。これがヨーロッパの「国境」の形。
皆さんも是非、国境沿いの町を訪れた際には自らの足で二つの国をまたいでみて下さい。特にこれといった変化はないかもしれませんが、日本では決して味わうことの出来ないことなので、いい思い出になるのではないでしょうか?