ギリシャヨットクルージングの魅力とは?-エーゲ海冒険旅行<後編>


今回はギリシャヨットクルージングツアーの後編をお届けします。アテネからイドラ島、ポロス島、エギナ島を巡る旅の2日目からです。前編は以下より。ギリシャヨットクルージングの魅力とは?-エーゲ海冒険旅行<前編>

2日目は旅情溢れるイドラ島から、北へ15㎞ほどのポロス島へ移動します。今回は距離が短いので、ゆっくりクルージングを楽しみながらの航海です。途中、筆者も舵を握らせてもらしました。ヨット初心者ですが束の間ヨットマン気分を味わうことに。
 
ヨットの舵は車と同じように右に回せば右を向きます。最初は舵の回転感覚が分からず苦戦。これが意外と繊細にできていて、舵を切りすぎて失速、セールがたわんでしまうこともしばしばありました。
 
ヨットは真っすぐ進めないので目標に向けてジグザグに進みます。最も風を受ける確度に帆を合わせるために舵を動かして、風を掴まないと前に進みません。風を掴んでは舵を戻す、掴んでは戻す、と小気味よく舵を動かして目標に寄せていきます。これが思いのほか初心者には面白いのです。
 
風の状況は刻々と変化しますし、ボケっとしていると流されてしまいます。風の方向に対してセールの向きを右から左に変えるタッキングやジャイビングなど、聞きなれない技があるようで、スキッパーの指示に従って乗員もそれをサポートします。

羅針盤、速度計、風向計?など計器が並ぶ操縦桿

ヨットの止め方って?筆者にとっては全てが初体験。錨を降ろす体験もさせてもらいました。といっても電動ボタンを押すだけ。。錨を下ろして、下ろして、下ろしながら船の後方から着岸します。ヨットの後ろ側、左右からロープを渡して固定したら、今度は逆に錨をどんどん上げていきます。そして錨の鎖がピンと張ったところで停止、錨とロープの3点で止めているのです。
 
こうして貴重なヨットマン体験もできてしまうのがヨットクルージングツアーの魅力のひとつ。自分たちの力で海を渡り、島を巡るというのが、冒険心をくすぐるのではないでょうか。ヨットについても興味があればスキッパーにいろいろ聞いてみるのもよいですし、きっと新しい発見があり楽しい経験になるはずです。
 

船の生活、トイレ、シャワー、電気事情


ヨットクルージングツアーで気になる生活事情についても少し触れておきたいと思います。まずトイレについては水洗なのでキレイです。しかし紙を流すとつまりの原因となるので、紙は流せません!ですので使用したチリ紙はゴミ箱に封印します。。この点は陸上生活と比べると少し不便というか不潔というかそう感じる部分もあるかもしれませんが、島に着いたらゴミを捨てます。筆者もトイレ事情を確認できてスッキリ解消できました。
 
また、シャワーを浴びる時はトレイの蓋を閉じて、上からシャワーを浴びます。足元の水は排水できます。お湯は20リットル常備されているので(エンジン使用時に沸かす)、一度に4.5人は浴びれるはずです。
 
外見はラグジュアリーなヨットツアーですが、その実態は硬派なアウトドア冒険旅行ともいえ、トイレ、シャワーなどに一部不便のあることもお伝えしておかなければならないでしょう。陸に上がっている時に、トイレやシャワーを済ますのも手です。場所によっては港にシャワー設備がある所もあります。
 
電気については、各島の港の岸にコインパーキングのような設備が設置されていてコンセントと蛇口がセットされています。停泊している間は、ここから電気の充電と真水の補給を行います。停泊中にバッテリー関連は充電しておきます。ヨットが盛んなギリシャならでは、無人島に停泊するのでなければ電気や水の心配もいりません。

コインパーキングならぬコイン電気と水 

ギリシャの夜、デッキの上には満点の星空


夜になりデッキに上がって夜空を見上げれば、満点の星空が広がります。ギリシャは空気が乾燥して澄んでいるせいか日本の田舎のように満点の星空を楽しむことができます。デッキに寝そべって夜空を見上げるのも船の旅の楽しみの一つだと知りました。
 
この時はオリオン座の中のオリオン大星雲もくっきり見えました。そういば星座を考えたのも古代ギリシャの人たち。当時の偉い人や哲学者などが集まって、満点の星を眺めながら侃々諤々、ギリシャ神話を星のストーリーに変えたのでしょうか。。
 
またアテネのパルテノン神殿と、南方のポセイドン神殿、エギナ島のアファイア神殿は、正三角形の位置に配されていると聞きました。星を観察することで正確な測量技術も持っていた古代ギリシャ人。
 
海の静寂の中、満点の星空と、港に浮かぶ船たちを前に、ギリシャ人の宇宙観について想いを馳せるのでした。

 
最終日3日目はポロス島からエギナ島

最終日、3日目はポロス島からエギナ島へ向かいます。朝7時から出航し4時間ほどのクルージングでした。途中、活火山のメタナ火山や、野生動物の病院でもあるモニ島、ダイビングやシュノーケルにも最適な岩礁があるサロニカ諸島などを横目に通りすぎます。
 
このあたりの海域はカリブ海のように美しく透明度の高い青い海です。夏場のメリットはエーゲ海の紺碧の海で海水浴ができること。周辺の無人島ビーチで遊ぶ観光客も増えるということです。
 
エギナ島はピスタチオ発祥の地といわれていて、船を降りた海岸通りにはピスタチオの出店が並んでいます。ギリシャといえばオリーブというイメージがありますが、ピスタチオもギリシャの名産なのです。
 
車で島を走って行くと一面に生えている木はオリーブではない?それがピスタチオの木、ということですが。大きさはオリーブよりやや小さめで、葉っぱらしい大きめの葉っぱが着いています。
 
目指したのは港の反対側に位置する古代遺跡アファイア神殿です。エギナ島では、イドラ島とは異なり車が普通に走っています。タクシーで15分から20分で目的地へ着きます。
 
アファイア神殿はパルテノン神殿と同じく紀元前500年ころに造られた神殿で、姿かたちはパルテノン神殿とほぼ同じです。ただ素材が石灰岩なので、大理石のアクロポリスと違い雨風でザラザラと朽ち果てた風合いになっています。
 
大きさはパルテノン神殿より小さめですが、小高い山の上に建っていて四方の眺めも美しいです。逆に海からアファイア神殿を見ると遠くからでも見つけられます。これはアクロポリスの丘と同様で、海から見ると灯台のような目印にもなります。
 

ピスタチオを買ってエギナ島からアテネへ帰港

 
港に戻ったらひとまずピスタチオを買っておきました。プレーンのもの、味付けしたもの、店によってそれぞれ味が異なります。またピスタチオバターの種類も豊富です。しっかり味見してお気に入りを見つけてください。ギリシャの販売員の皆さんはとても感じが良いので、何袋も買ってしまうかもしれません。
 
2時間ほどエギナ島を観光し、13時にはアテネに向けて再び出航です。天気は午後から曇り始めましたが、強い風が吹き、セーリングには最高のコンディションとなりました。20ノット近くの風が出て8ノットを超えるスピードで船は進みます。波も荒くなり船は大きく左に傾いたままアテネ方面の北へ向かいます。
 
体感的にはかなりのスピード感で、上下に大きく揺れるので、もはやエキサイティングスポーツです。船内の荷物も何処かへ吹っ飛んでしまいます、物は飛ばないようにしっかり収納。ヨットクルージングが初めての筆者ですが船酔いはなかったので、遊園地のアトラクションのように楽しむことができました。
 
羅針盤を頼りに60°の方向を目指すとスキッパー船長。船長でさえ難しいと唸るほどの風の中、重くなった操縦桿を握る船長もついに本気モード。時刻は16時前、ヨットは予定よりも速いペースで進み、約3時間のクルージングでアテネ近郊へ。沖からアテネを眺めるとアクロポリスの丘が見えてきます。ギリシャ時代の船乗りたちも見たであろう景色を前に、今日も無事にアテネに着いたわい、と船乗りたちの呟きが聞こえて来そうな気さえします。
 
船は漁をするにも移動するにも、ギリシャ人にとって生活を支える大切な道具です。ここでは船に乗ることが当たり前であり、羅針盤と風を頼りにセーリングができて初めて一人前とは呼べるのかもしれません。
 
こうしてエーゲ海の島々に囲まれてヨットの舵を握ると、当時のギリシャ人の生活の一端を垣間見ることができた気がします。アテネを少し離れただけでギリシャ時代と変わらない群島の姿や、昔のままの村、飾らない人々など、古代ヨーロッパの起源とされるギリシャの本質に触れることができると思うのです。

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